セミナーや会議では、メモを取りながら話を聞くことは多いと思います。『20代に伝えたい50のこと』(ダイヤモンド社)の著者秋元祥治さんは、そんな時、話者が話していることをすべて丸写しするようなメモでは、あまり意味がありません!と断言します。では、どのようなメモをするといいのでしょうか。本連載では、『20代に伝えたい50のこと』から抜粋しながら、メッセージをお伝えしていきます。
話者が話していることをすべて丸写しするようなメモでは、あまり意味がありません
「何か質問のある人はいますか?」
たとえば、セミナーや会議の時。そう呼びかけられたら、あなたはどうされるでしょうか。
手を挙げるほうがいいに決まっているけれど、質問も思いつかないし黙って周りの様子をうかがっている、という方は多いかもしれませんね。
でも、そんな時、誰よりも先に手を挙げて質問をする人もいます。しかも、質問の内容も「あ、たしかに自分もそれを聞きたかった」と的を射ていることが多かったりします。
どうしてすぐに、あんな質問を思いつくのだろう。どうすれば、あの人みたいになれるのだろう。これまでに一度でもそう考えたことのあるあなたに、ぜひ実践していただきたいテクニックがあります。
そのテクニックとはただひとつ、「メモを取る」こと。
え、それだけ? と思われるかもしれませんが、本当にそれだけです。
しかし、メモを取るか取らないかが大きな分かれ目。人生を左右すると言っても過言ではありません。それだけ、きちんとメモを取れる人が少ないということです。
とはいえ、ただ話者が話していることをすべて丸写しするようなメモでは、あまり意味がありません。また、黒板やホワイトボードに書かれていることをキレイに書き写す人もいますが、それだけではもったいない。後で見返すために記録しておきたいなら、後からスマホで撮影したってよいのです。話者は話していることを補助する意味で板書しているのですから、書き写すのに忙しくて話を聞けないのなら、本末転倒です。
よく「東大生のメモの取り方」のようなテーマの本や番組が話題になりますが、基本はよく話を聞くことです。そして、メモの取り方にもコツがあります。
では実際に、私が実践しているメモの取り方をご紹介します。
ノートであれば右端4センチほどに、PCであればドキュメントの下半分に余白をつくって おきます。これで準備は万端です。
あとは話を聞きながら、論旨は普通にメモをとればいいんです。そして、あらかじめ用意をしておいた余白に、自分の頭の中に浮かんだことも3つの観点でメモをするようにしたらいいのです。
1. 気づき
セミナーに出るにしても、会議に出るにしても。せっかく同じ時間を過ごすなら、ひとつでも多くの気づきを得られるほうがいいですよね。気づいたことを忘れないように、話を聞いて いて「あ、なるほど」と思ったこと、今までにない発想、知識、面白いと思ったことなどをサッと記しておきます。話を聞くだけでなく、手で書き、目にすることでさらなる「インプット」となり、気づきがより自分のモノになります。
2. 違和感
話を聞いていて「?」と思うようなことも書き留めておきます。うまく説明ができないけれど、なんとなくひっかかったこと。すっと腹に落ちなかったこと。とにかく少しでも気になったらメモしておきます。そして、その違和感を後で話者にぶつけてみるのです。そうすることで、自分が何にひっかかっていたのか、もやもやが晴れてより深い理解につながることもありますし、「では皆さんで話し合ってみましょう」という議論のきっかけになることもあります。違和感は、気づきの種です。メモをしておくことで、思いもよらない気づきを得られることがあります。
3. 疑問、もっと知りたいこと
「なぜ、そうなるのだろう」「こういうケースはどうなんだろう」という、話を聞いていて浮かんできた疑問や質問を書き留めておきます。ただただ、黒板やホワイトボードに書かれていることを書き写すのに忙しい人は、疑問を持つ余裕すらありません。話者の話に集中することで、考える余裕が生まれるのです。そして、お気づきのとおりこのメモがあることで、「質問 はありますか?」という投げかけに対して、真っ先に手を挙げることができるようになるのです。
つまり、自分の頭の中に浮かんだことを「メモにする」ことは「準備をする」ことです。突然指名されてから質問を考えるのは大変です。でも、誰だってメモしたことを読み上げることはできます。考えながら話すことがニガテなら、「考える」と「話す」を分け、考えたことをメモしておき、話す時にただ読み上げればいいのです。