オックスフォード大学のスコールセンター(Skoll Center)は、もっとも有名なソーシャル・イノベーションの研究拠点で、年に一度、「スコール・ワールド・フォーラム」というコンファレンスを開催している。

 ゲストには、ムハマド・ユヌスや元アメリカ副大統領のアル・ゴアら豪華なメンバーも集まる。

 米国スタンフォード大学近郊にはスコール財団の本拠地もあり、スタンフォード大学とのさまざまな連携を行っている。

 スタンフォード大学の強みは、授業カリキュラム以上に、Kiva(キバ)などに代表されるOBたちのネットワークや、協力する企業や財団、政府、といった周辺の生態系の厚みといっていい。

 今後、ビジネスのイノベーションと、政府、そして社会分野のイノベーションは、大学を通じてさらに重なってくるだろう。

 大学に果たしうる役割は非常に大きい。
『社会起業家になりたいと思ったら読む本』に詳細に取り上げられているような、新たなカリキュラム開発や研究に加え、地域との連携は、非常に重要だ。

 大学のように、地域のビジネスや事業者の力、行政の持っているリソースを、連携させる役割を果たせる存在は、そうは見当たらない。

 日本でも首都圏や関西の大学を始め、地方でもいくつものプログラムが登場しており、有力な社会起業支援団体との連携や、地域でのハブ(Hub)となる動きも始まっている。

 大きなビジョンを描く。そこから多くの支援者やリソースが集まり、世の中を変える道筋となっていく。大学自らが、社会の変化を見据え大きく考えリーダーシップを発揮すること、それが、若者たちのリーダーシップにも大きく影響するだろう。大学にこそ、社会のイノベーションを先導する役割と責任がある。


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