コミュニティこそが、
仕事の成果を高める秘訣?
宮台 10年以上前だけど「AERA」(朝日新聞社)で東大に入った子の勉強部屋を特集したことあるんだ。そうしたらほとんどの子は個室じゃなく、家族がいるリビングなどで勉強していた。子ども部屋を持っている子も含めてね。そりゃそうだよ。1人孤独に勉強するなんて、修道士じゃないんだからさ。カフェや図書館で勉強するとやたらと能率あがったりするけど、それも当たり前の話。人間は何万年もそうやってきたんだから。
シンペー よるヒルズも、男4名は同じ寝室で寝起きしてます。個室がない、と話すとたいていびっくりされるんですけどね。「どういうこと?その人たちは家族なの、それとも仕事仲間なの?仲のいい友達?」って。しかも、住人同士がリビングで一緒に仕事していると言うとさらに驚く。「家に帰って夜中までみんなで仕事をする?それって家なの、会社なの?」。
既成概念の枠組みで判断しようとするとイメージしづらいようです。シンプルに「好きな人たちと仕事もするし、生活もする。人生の時間を共有する」ってことを実践しているだけなんですけどね。
宮台 「一緒に仕事したい奴」が集まる。いいねぇ。僕は大学で就職支援の担当をしていたこともあり、よく企業の人事部から相談を受けるんだけど、彼らにも言うんだよ。『単に有能な奴』『単に一緒にいたい奴』ではなく、『一緒に仕事をしたい奴』を採れ、と。
シンペー 「こいつらと働きたいと思える仲間と、やりたいことを追求する」。それが仕事本来の姿だし、コミュニティじゃないかと考えています。でもこれまでの企業社会ではそれが許されにくい。みんながひたすらわかりやすい数字を追いかけ、そういう本来のあり方をあきらめてしまっている。
これまでの日本人は「会社」と「家庭」の2つのコミュニティに依存し、適応してきた。これから先、はたしてそれでいいんだろうか、と。リストラされたりして、片方(会社)がダメになったら、もう一方(家庭)も立ち行かなくなることが多いわけじゃないですか。会社に依存したコミュニティの仕組みは、もうまともに機能しないのでは、と思いますね。
迫るグローバリズム。
ネットワークの豊かさが成功のキー
シンペー よるヒルズの住人は価値観や時間、空間だけでなく、コミュニティも共有しています。これがかなり面白い。たとえば僕と価値観を共有する住人Aで作るコミュニティがあるとするじゃないですか。そこへAが友人のAダッシュを連れてくる。コミュニティとコミュニティが交わることで刺激が生まれ、新しいプロジェクトに結びついたりするんです。