グーグル、マッキンゼー、リクルート、楽天など12回の転職を重ね、「AI以後」「人生100年時代」の働き方を先駆けて実践する尾原和啓氏が、その圧倒的な経験の全てを込めた新刊、『どこでも誰とでも働ける』。この連載では同書の一部を公開します。

多忙な生活のなかで、担当編集者が驚くほどの読書を重ねる尾原氏は、どのように本を読んでいるのでしょうか?

 グーグル検索だけでは調べきれないことが出てきたときは、必ず大きな本屋に行って、目についた本を全部買うと決めています。これはぼくの実家の教えの1つで、「本はメートルで買え」と言われていました。

 1冊1冊ちまちま選ぶのではなく、本屋の棚の「ここからここまで全部買え」というわけです。本が高いといっても、たかだか2000円くらいです。その中のたった1行が人生を変えてくれることだってあるわけで、そう考えると、ずいぶん安い投資です。

 買ってきた本は、一字一句精読するわけではなく、パラパラページをめくりながら、1冊あたり3~5分くらいでとりあえず最後まで読みます。

 そんなスピードで何をしているかというと、自分が知りたいキーワードを先に押さえておけば、そのキーワードを含む文字列が勝手に目に飛びこんでくるので、それを目に焼き付けているわけです。たとえば、自分好みの異性が街中を歩いていたら、どんな人混みの中でも見分けられるという方は多いはずです。それと同じで、自分の知りたいことをあらかじめ頭の中に叩きこんでおけば、それに関する部分が自然と目に入ってきます。

 もちろん、3~5分という時間はみなさんで自由に変更してください。ぼくは慣れているので、この時間でやっているというだけです。

 その本からどんな情報を得たいか。ゴールがはっきりしないときは、先に目次に目を通します。その中には、自分が引っかかる注目ポイントがいくつかあるでしょうから(まったくなければ、その本を読む必要はないかもしれません)、それを強く意識して、本文をパラパラ見ていきます。最近のビジネス書は、ありがたいことに重要なところは太字になっていたり、まとめがついていたりするので、そうしたことも意識しておくと、読む時間をかなり短縮できるはずです。

 1回通しで読んでみて、新たなキーワードが見つかったら、今度はそのキーワードを意識しながら、同じくらいの時間(3~5分)をかけてもう一度読み直します。この方法で集中して2回目を通せば、必要な情報はだいたいインプットできるはずです。

 電子書籍でも、ページの端をトントントンとタップしていけば、どんどんページがめくれるので、手順としては同じです。また、キンドル端末なら、ポピュラーハイライトといって、他の人がマーカーを引いた部分を表示することができるので、そこを中心に読むこともできます。

 さらに、電子書籍ならではの利用法として、「このページが気になる」と思ったら、どんどんスクリーンショットを撮っておくという方法もあります(ページを画像として認識するという意味では、「フォトリーディング」そのものです)。

 電子書籍は不正コピー防止のために、テキストのコピーが原則できないようになっていますが、スクリーンショットで写った文字列は、エバーノートに入れておくと自動認識してくれるので、あとで検索することもできます。トントントンとページをめくって、パシャパシャとスクリーンショットを撮り、エバーノートに放りこんでそこで全文検索をかける、という使い方が便利です。

 先ほども述べたように、本を1冊読んで、自分を救ってくれる新たなキーワードが1個見つかったら、それだけで十分元はとれます。だから、自分の関心に引っかかった本を買ってきて目を通し、新たなキーワードに巡り合えればOKだし、巡り合えなかったら、今回はご縁がなかったということで、その本を閉じてしまえばいいわけです。

 本は、最初から最後まで読まないと(著者に)失礼だという人がいるかもしれませんが、もっとかわいそうなのは買われないことと、積ん読されることです。

 また、多くの人が「本は読んだときに理解しなきゃいけないものだ」と思いこんでいますが、ただ気になる文章をスクリーンショットでパラパラと見ておくだけで、ある日突然、「あの文章はこういう意味だったのか!」とわかる瞬間が訪れたり、散歩の最中に「あれって実はこれと同じことだったのか!」と新しい結びつきに気づいたりするものです。

 みなさんは「情報分析」と聞くと、つい「1つの情報を掘り下げて別の情報を抽出する状態」をイメージしがちですが、実は「情報分析」という行為の8割は「分析」ではなく「分類」です。つまり、自分が知っている過去の情報のどれかに当てはめるという行為です。なので、大量の情報をインプットして、分類のジャンルを増やしておくことが大切です。そうすれば、読んだ時点ではピンとこなくても、ふとした瞬間に新しい結びつきに気づく(=理解できる)可能性が高いのです。