過去に、生活保護を担当する職員が「NAMENNA(舐めんな)」と背中に記載したジャンパーを着ていたことで批判されたことがあった。もちろん、誤解を生みかねないものではあったが、その一方で、職員が現場で市民に恫喝される現実などはあまり掘り下げて語られることはない。

 ある自治体の元担当者は、安全のために役所が防刃チョッキを購入していた事実を明かす。実際に、生活保護費の受給が認められなかった市民が刃物で職員を刺し、その命が失われたケースもあるからだ。

良い取り組みへの肯定は公権力の監視となる

 報道姿勢についてメディア関係者の言い分を聞くと「権力者の力を助長するため、安易に肯定・称賛することはできない」と答える。もちろん、安易に称賛する必要はない。しかし、是々非々で、建設的かつ合理的に「論評」がなされ、もし、称賛に値する事実があれば、称賛すべきだろう。

 前述した通り、公権力の監視は重要ではある。しかし、「犯罪白書」においても公務員の犯罪は減少している。公務員(※国会議員・地方議員・国家公務員・地方公務員を含む)の代表的な犯罪と言われる収賄の起訴件数は40年前の1976年には508件にのぼるが、2016年では22件にまで減少した。

 公務員犯罪に対してメディアはその役割を果たしてきたとも言えるが、時代の変化に合わせて、公権力の監視の手段やあり方も再考される過渡期にある。

行政は独占事業であるがゆえに生活に直結する

 実は、行政の先進的な取り組みを称賛することも公権力の監視につながるのではないかと筆者は考える。不正の温床を仕組みで排除した先進的な自治体が報道されることで、それを見た他の地域の市民から「うちの自治体では同じことができないのか?」という圧力が働くからだ。

 行政は衣食住から、電気、水道、教育、医療など、生活に不可欠なサービスを提供し、市民の生活に直結、貢献している。多くの行政サービスは独占事業であり、民間企業のように競争相手がいない。そのため、行政の対応やサービスが悪かったとしても、それを市民が回避できないことも多い。