若いときは会社選びで失敗しても
自分で修正していければOK!

ちきりん 「働く」ということに充足感や楽しさを求めれば、就職先の選び方も「大企業で安定してそう」ということより、「小さい会社だけどやりがいがありそう」という選択肢が選ばれるはずです。でも実際には、ますます大企業や公務員が就職先として人気化しています。

藤野 そうなんです。オリンパスとか東電のような例を見れば、普通は「今は大きな会社でもダメなことがあるよ、だからいろんな選択肢を持つべきだ」という考えになると思うんです。

 でも、今の大学生の親たちの多くが考えることは、「ああいう大きな会社でさえ、ああいうことが起きてしまったのだから、小さい会社だとなおさらダメだ」という風潮になって、やはり大きな会社に入るべきだという風になっている。

ちきりん 私がブログで伝えたいと思っていることの一つが、優秀な若い子たちに、「あまり変な会社に行かないで」ってことなんです。

 優秀な若い技術者を、10年も赤字部門に閉じ込めておくなんて、本当にもったいないと思うんです。これこそ日本の今後の可能性をつぶしてしまう愚行だという危機感すらあります。日本にとって人材こそ唯一の貴重な資源なわけですから、人材の有効な資源配分が行なわれたら、日本経済も再生の可能性がでてきます。

 優秀な子が安定を求めて役所に行きたいとか、ほとんど死にかけているような企業に行きたいとか、時代錯誤の年寄りたちが実効支配し続けているような会社に入りたいというのは、とてももったいないことだと思っていて、私としてはそれを少しでも変えたいんです。だからブログでも必死で若者を煽ってるんです(笑)。

藤野 あはは。確かに、若い世代には間違った選択してほしくないですからね。

ちきりん まあでも、こうは言っていても、学生というのは常に間違った選択をしがちなんですけどね(笑)。若い世代に限らず、100%の人が常に正しい選択することはないですし。

藤野 そうそう。でも、若いときの間違いは後から巻き返し可能ですからね。

ちきりん それに、若い時に失敗した経験があるから、かえって大事なことがよくわかる、ということもありますよね。

 私も大学を卒業して、最初はバブル時代の証券会社に入って、「理屈など関係ない、何も考えるな」と言われて。今考えると馬鹿げていますが、そういう経験があったからこそ、かえって「自分のアタマで考える」ことの重要性もわかったわけで。若いうちに間違えるのも、案外悪くないような気もします。
ただし、失敗しながら、自分でだんだんと正しい方向に軌道修正できるかが重要なわけで、私としてはブログを通じて、そのための「気づきのヒントやきっかけ」みたいなものを提供できればいいなと思っています。