英語ができればマーケットが広がり
自分の考え方が変わってくる!

藤野 私は、今後投資したいと思えるような成長する日本企業を探すことは、就職にも転職にも使えると思ってるんですが。

ちきりん 確かにそうですね。最初にお話したとおり、サービス分野など世界で活躍できる日本企業は今後、増えていくと思います。ただ、日本人が世界で活躍するために大きな課題が一つあります。それは英語力が弱いということです。

 日本企業が不運なのは、日本自体が大きなマーケットだったため、国内だけである程度のビジネスが成り立ってしまうので、それで満足して日本語しかできない人が多いんですよね。その人たちは、どうしてもビジネスの射程圏が狭くなってしまいます。

 もし日本が小国で、スウェーデンみたいに全員英語がしゃべれないと生きていけません、という国になったら、今の企業の若い経営者はもっと自然にどんどんアジアで事業を展開していくと思うんです。そうすると、今年成長率3%の会社はおそらく成長率10%になるはずだし、今10%の会社は30%になるはずだと思うんです。日本の英語教育が乏しいことによって、すごくもったいないことになっている気はします。

藤野 英語力の問題はとても大事ですよね。ファーストリテイリングや楽天など、グローバル展開に対する意識が強い企業ほどこの点で危機感が強く、英語を社内共用語にするなどドラスティックな動きを取っていますね。でも、そういう動きに反発する日本人も多くて、日本人のグローバル感覚の遅れを感じます。

ちきりん そうなんですよ。たとえば本の出版に関しても、日本の出版社から「本を出しませんか」という話が来ると、基本的に視野に入れているのは日本のマーケットだけですよね。後から追加で、韓国版が出ますとか台湾版が出ますという話はあるけれども、最初からアジア全体で売れないか?という発想の出版社はほとんどないわけですよ。

 ところが、これが英語の本だったらどうか。たとえば、スティーブ・ジョブズの本をアメリカだけで売るという感覚の編集者は誰もいないですよね。最初から世界のマーケットを意識する。本に限らず、映画でもファストフードチェーンでも小売業でも同じです。彼らは最初から「世界で売れるか? 世界で展開できるか?」を見ています。日本企業のように、まずは日本で成功し、日本市場が飽和してからようやく「さて、世界の市場はどうなの?」と考え始めるのとはぜんぜん違います。

 英語の得意な人を増やすということも含め、日本人はもっと世界的な視野でビジネスを考えるということを身近に身につけていかないと。日本はいいものを持っているのに、その点は今、すごくもったいないことになっていると思います。
第5回へ続く

 


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