――メールは、現代の仕事でかなりの時間を奪われているというデータもあります。成果を出すには、仕事を圧縮していくことは大事ですね。角田さんは、いかがですか?
Exイントレ協会 代表理事
高校時代、国語の偏差値はどんなにがんばっても40台。本を読むことが嫌いだったが、借金を返済するため投資の勉強をはじめる。そこで500ページを超える課題図書を読まざるを得ない状況になり、速読をスタート。開始から8ヵ月目に日本速脳速読協会主催の速読甲子園で銀賞(準優勝)、翌月に開催された特別優秀賞決定戦で速読甲子園優勝者を下して優秀賞(1位)を獲得。日本一となり、その後独立。速読を通じて、本を最大限に活かし、時間の量と質を変えることの大切さを教えるため、国内外を飛び回っている。 セミナー講演では医師、パイロット、エンジニアなどの専門職から経営者、会社員、主婦と、幅広い層の指導にあたり、95%以上の高い再現性を実現している。 大企業から学習塾など、さまざまな分野での研修も実施しており、ビジネスへの活用、合格率アップなどにつながる速読の指導は好評を博している。 教室に通う受講生の読書速度向上の平均は3倍以上で、「1日で16冊読めるようになった」「半月で30冊読めるようになった」「半年間で500冊読めるようになった」など、ワンランク上を目指す速読指導も行っている。 著書に、『速読日本一が教える すごい読書術 短時間で記憶に残る最強メソッド』(ダイヤモンド社)などがある。
角田 「トライアンドエラー」ですね。一発で成果を出すのは、まず無理です。大学卒業後、12年ほど、システムエンジニアをしていましたが、プログラムを書いて、1発でバグのないプログラムがつくられるということはまずありませんでした。バグを起こさないように頑張るのではなく、バグが起こる前提でどう対策を打っておくか。こう考えて仕事をしたほうが、失敗はあるかもしれないけれど、成長していくというサイクルが生まれます。失敗から人は成長していくものだと思いますので。これは、どの仕事にも共通していることです。
この考え方は、私が推奨する「本を3時間で1回読むより、1時間で3回読む」という考え方に似ています。
――「成果」を出すにあたり、仕事を小さくしていく過程や失敗からの切り替えなど、「スピード」は大事な要素のようですね。スピードをあげるために、大事にしていることはありますか?
角田 「スピードを意識すること」「測定・計測すること」の2つをあげます。そもそも、スピードを上げること自体を意識できていない人が多いです。アクションを起こす前は「速くしよう」と思っていても、実際にアクションを起こしはじめると忘れてしまう人が多いんです。この意識を崩さないことが大事。
また、スピードが上がっていることを自分の感覚で感じるのは難しいです。本当に速くなっているのかはわからないので、計測していくことも必要です。岡田さんの「メールは3分で終わらせる」を実践するのであれば、本当に3分で終わっているのかを確認することもありかな、と。たまに、ランダムで測定して、実際の数字を見ることで、本当に時間が短縮できたことを数字で把握できると、モチベーションがあがっていきます。
岡田 私も「測定」は本当に大事な行為だと思います。かつて、シンガポールに来て1年2ヵ月ものあいだ、「売上ゼロ」だったことがあります。デロイトコンサルティング時代に、日本チームの立ち上げがミッションだったのに、売上がなかったんです。数々の商談を受注し売上がなかったため、マレーシアに出張するとき、飛行機ではなく、高速バスで行って、ホテル宿泊を避け知人の家に泊めてもらい、経費を極限まで浮かせていたことがあります。
この売上がなかった時代に私がやっていたのが、「日々、どれくらい電話をした」とか、「訪問してどういう成果があったのか」など、自分の身を守るために、測定をして、上司に見せるために日々の活動を可視化していきました。このとき、1日にどれだけ仕事ができるかなど、時間の価値を知りました。
その経験があって、ダイヤモンドオンラインでの執筆は、スキマ時間をうまく利用し、4年以上も連載を続けています。2月に出版してからは1ヵ月強、1ヵ月に1度しか書いていなかった記事を毎週書いていきました。「リズム」と「熱量」、これもスピードを出すために大事な要素です。リズムがないとうまく進まないですし、速読もそうですよね。リズムをとれるよう、睡眠もきちんととり、自分ができる範囲で自分をマネジメントしていくことです。
――「初動効果」もやる気を出すために、いいことですよね。とりあえず4分やることで、集中していくようです。
岡田 「すべての仕事を4分で終わらせる」というタイトルにすればよかったかも。
――もともと、上司に言われたのが、たしか5分でしたよね。岡田さんは、自身がせっかちだからと、3分で何でも対応できるようしたのですから、すごいですよね。
(書き手=編集部・武井康一郎)