グーグルの存在価値を規定するミッション・ステートメント
第3回では、アマゾンのミッション・ステートメントが「地球上で最もお客様を大切にする企業」であるということに触れたが(アマゾンはシリコンバレー企業ではないが)、グーグルにも同様にミッション・ステートメントが存在する。
Google's mission is to organize the world's information and make it universally accessible and useful.
グーグルの使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。
20年前の1998年に設立され、ページランクをもとにした検索エンジンを提供し、短期間で急成長を遂げたグーグルは、このミッションをもとに、ウェブページだけでなく、様々な情報を収集して整理してアクセスできるようにしている。
YouTubeを買収し、世界中のビデオを視聴することを可能とし、アンドロイドによってより多くの人がインターネットにアクセスできるようになった。グーグルマップによって地図や渋滞情報、ストリートビューによって景色までわかるが、これらも情報である。
自動運転技術というのも、車の運転状況の情報を整理し、さらに道路の状況などを収集・整理することで可能になるわけだから、まさにグーグルは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるように」しているのである。
これを先ほどのバリュー・プロポジションを表す図に当てはめると、まさにグーグルは「グーグルならではの提供価値」と「インターネットユーザーが求めている価値」の交わるところをミッションとしていることがわかる。
グーグルの検索エンジンを支える技術はグーグルだけが提供できる価値であり、一方で多くの人々は様々な情報について気軽に知ることができる利便性を欲している。そして、現実に世界中の多くの人々は、何かについて知りたいと思ったときにグーグルで検索するという行為が一般化している。