バリュー・プロポジションとは?

 バリュー・プロポジションとは直訳すると「価値命題」だが、むしろ「存在価値」という言葉の方が近い。これをよりわかりやすく言うと、他には提供できない「自分ならではの提供価値」と、自分以外の「他者(顧客やユーザー)が求めている価値」の両方を満たす価値ということだ。

 顧客やユーザーに何らかの価値を提供し、その価値の対価としてお金を受け取るというのがビジネスの本質であるとすると、自らのバリュー・プロポジションを常に強く意識することは、ビジネスを行う上での前提となる。

ツイッターの採用面接で繰り返し聞かれた<br />「本質を突く質問」とは?<br />バリュー・プロポジション=存在価値

『破壊――新旧激突時代を生き抜く生存戦略』で詳しく説明しているが、ディスラプター(破壊者)がこの世の中に出現するとき、彼らには既存の顧客や販売チャネルがあるわけでも、低コストで生産するための生産施設を持っているわけでもない。

 彼らにとっての唯一の武器はどのような「他では得られないユニークな価値」を提供できるか、ということに尽きる。それは言い換えると、その企業がこの世に存在する価値=存在価値は何なのか、ということだ。

 ツイッターは、自らのバリュー・プロポジションを「The Global Town Square」と位置づけ、具体的には、「Our Mission」と称して、以下のように表現している。

To give everyone the power to create and share ideas and information instantly, without barriers.

 Global Town Squareという表現は、かつてヨーロッパの町の広場で多種多様な人々の自由な発言と対話によって民主主義が生まれたことをなぞらえたものだが、前記の「Our Mission」を和訳してツイッター自身は「言語や文化などの障壁をなくして、思いついたアイデアや見つけた情報を一瞬にして共有する力をすべての人に提供すること」としている。

 しかし、バリュー・プロポジションとしては、英語の「To give everyone the power」と「instantly」、そして「without barriers」いう部分が端的にツイッターを表現していてわかりやすい。

 様々な人がスマートフォンから短い文章でどこからでもアクセスできるという極めてオープンな環境で、リアルタイムに情報を受発信できるというツイッターならではの価値、そして世の中の人たちがツイッターに求める価値を、まさに端的に表現している。