「あれもこれも」と詳細にわたる提案をすると、往々にして細部をつつくような指摘をされるものです。おそらく「外装デザイン」だけではなく、「あれもこれも」とダメ出しをされる。その結果、すべてを差し戻されてしまう危険性があるのです。そうなると、獲得した“陣地”はゼロ。

 それまでに担当チームが積み上げてきた努力と時間がすべてパーになってしまうのです。これでは、あまりに非効率ですし、上層部の会議で決裁を得られなかったマネジャーに対するメンバーの信頼も傷つくでしょう。

 だからこそ、テーマを小分けにして、一つひとつ上層部の決裁を獲得していくことで、着実に“陣地”を広げる戦略が重要なのです。

 しかも、テーマを小分けにすることによって、提案にもスピード感が生まれます。詳細まですべて詰めようとすると、どうしても時間がかかりますし、担当チームも「もしも、否決されたら……」と不安を覚えることになるでしょう。それでは、チームの生産性にマイナス影響を及ぼすうえに、指示を出した上層部からは「いつまでかかるんだ?」とマネジャーはもとよりチームに対する心証まで悪くしてしまいます。

 そのような事態を招かないためにも、テーマは小分けにして、短いサイクルでリズム感をもって意思決定をしていくことが大切です。もちろん、上層部から差し戻しになる提案もあるでしょうが、それは、上層部と担当チームのコミュニケーションだと思えばいいのです。

 そのコミュニケーションを通して、担当チームは上層部の考え方や意図を深く理解して、より適切な提案ができるようになるはずです。その結果、意思決定スピードが加速し、生産性も上がっていくのです。