課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。ところが、私たちには「会議術」を体系的に学ぶ機会がほとんどありませんから、悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか? そこで、ソフトバンク在籍時に「会議術」を磨き上げ、マネジャーとして大きな実績を残した前田鎌利さんに『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました。本連載では、その内容を抜粋して掲載してまいります。
「複雑な意思決定」はできるだけ排除する
私は、ソフトバンクのマネジャーになってから、定例会議を「30分」に変更し、効率的に質の高い意思決定を行うために、下図のようなシンプルな提案書サマリーをフォーマット化しました。メンバーから提案をするときには、基本的にこのフォーマットにまとめてもらったうえで、会議でのプレゼンを「3分以内」に終わらせるように徹底したのです(詳しくは連載第12回参照)。
このようなシンプルなフォーマットによって提案の骨子を端的に表現することで、プレゼンも短くなりますし、会議の参加メンバーも提案内容をスピーディに理解できるため、10分ほどのディスカッションでも十分に質の高い意思決定をすることができます。
ただ、このフォーマットには、もうひとつ重要な意味があります。
これだけシンプルなフォーマットですから、複雑な提案をするのは難しい、ということです。このフォーマットを使うためには、シンプルな提案にせざるを得ないのです。
「それは、むしろ制約になるのではないか?」
そんな疑問の声が聞こえてきそうですが、逆です。意思決定スピードを上げて、意思決定回数を増加させるためには、複雑な提案こそ排除しなければなりません。そもそも、複雑な提案を3分のプレゼンで伝えるのは困難。ディスカッションも長時間に及ぶ結果を招くうえに、結論にまで至らない「ダラダラ会議」を生み出す大きな要因なのです。