急速に進んでいる
北朝鮮の「中国の属国」化

 これは、制裁解除以上に、金にとっては重要なことだ。北朝鮮だけでなく、米国もこれまで、しばしば大きなウソをついてきたからだ。

 2003年、米国は「大量破壊兵器を保有している」「アルカイダを支援している」などの理由でイラクを攻撃し、フセイン体制を崩壊させた。しかし実際には、イラクに大量破壊兵器はなく、アルカイダとは無関係だった。

 同年、リビアのカダフィ大佐は、核計画を放棄している。欧米との関係は著しく改善され、制裁も解除された。しかし2011年、カダフィは米国が支援する反体制派につかまり、殺されている(その他、仰天のウソについては、当連載バックナンバー『北朝鮮も警戒、米国の「嘘つき癖」が世界を不安定にしている』を参考にしてほしい)。

 常識的に考えると、米国の「体制保証」の約束を信じるのは、ナイーブすぎる。そこで金は、米国に次ぐ大国である中国に「体制保証」を求めているのだろう。

 たとえば、日本は経済大国だが核兵器を持たない。そこで、米国が「核の傘」を提供し、日本の体制を保証している。同じことは、欧州諸国にもいえる(ただし、同じ欧州でも、英仏は核を保有しているので事情が異なる)。それと同じように、世界第二の大国である中国にすり寄り、体制保証を確実なものにしようともくろんでいるのだ。

 今後、米国の圧力に負け、北が本当に「完全な非核化」をしたとしよう(本音では、したくないはずだが)。米国は後に変心してカダフィを殺したように、今度は金体制を滅ぼそうとするかもしれない。

 しかし、中朝関係が非常に良好であれば、どうだろうか?米国が北朝鮮を攻めれば、中国が黙ってはいない。米国は、核超大国である中国と戦争することはできないから、北朝鮮は安泰だろう。

 北朝鮮が中国に接近するのは、小国として常識的な動きだ。しかし、そうすることで、北朝鮮が中国の「属国」になっていく