「1分×200語」でざざーっと読んでみる
下記は約200語の文章です。ためしに1分を目指して、時間をはかりながら読んでみてください。意味ははっきりわからなくても大丈夫。「1分×200語」の速度感覚を体感することが最初の一歩になります。
Julio said this to the young mugger because he felt sorry for him. Julio felt the boy was doing this because he really needed the money. The mugger kept walking, but Julio didn't give up. Julio said to him, “I'm hungry. Would you like to join me for dinner?” The mugger stopped and turned around.
They went to a nearby restaurant, and then after a nice meal, Julio said he needed his wallet to pay for the dinner. The boy didn't run away with the wallet and a full stomach. Instead, he returned the wallet to Julio. Julio paid for dinner, and he also bought the mugger's knife from him for 20 dollars.
Julio doesn't know what the young man is doing now, but he hopes that he's a better person than before.
10代の少年がナイフを持って近づいてきたのは、フリオ・ディアスが家に向かって歩いていたときのことです。フリオはケガを負わされることを恐れて、少年に財布を渡しました。少年が立ち去ろうとしたときに、フリオが彼を呼び止めました。「何か忘れているだろう。一晩中強盗をするつもりなら、私のコートも持っていったほうがいいんじゃないか。冷えるぞ」
フリオはその若い強盗をふびんに思い、声をかけたのでした。お金の必要に迫られて、彼はこのような行為に及んだのだろうと感じたのです。強盗は歩みを止めませんでしたが、フリオはあきらめませんでした。フリオは少年に「腹が減ったなあ。一緒に夕食を食べないか?」と言いました。少年は立ち止まり、振り返りました。
2人は近くのレストランへ行きました。おいしい食事を済ませると、フリオは支払いをするために財布が必要であると言いました。お腹いっぱい食べることができた少年は、財布を持って逃げることはしませんでした。その代わりに、彼はフリオに財布を返しました。フリオは夕食の代金を支払うと、さらに少年が持っていたナイフを20ドルで買い取りました。
あの少年がいまどうしているのか、フリオにはわかりません。でも、フリオは彼が以前より立派な人間になっていることを願っています。
1分で読むには意外に急がなくては、と思ったのではないでしょうか? この関係代名詞はここにかかっていて……などといちいち英文解釈をしている暇もないはずです。だからこそ、速く読む習慣を身につけることで、英語を英語のまま理解できるようになってきます。
また、「mugger」は強盗という意味ですが、文脈の中でなんとなく類推できたのではないでしょうか? さらに、「Julio Diaz」はスペイン語系の名前なので、ジュリオではなく、フリオ・ディアスと読みます。
どんな英文でも、こうした、意味や読み方でちょっとひっかかるところが出てくるものですが、本書で先にも述べた通り、そうしたところも類推しながら読み進めることで、類推力が上がっていきます。
英文自体は書店の洋書コーナーにもインターネットにも無数にあふれています。そのどれもが「読む」ための教材になってくれます。
最初は大変なので、すでに概要を日本語で知っている記事などをリーディングの素材に選ぶのもいいでしょう。IBCパブリッシングの「対訳ライブラリー」の書籍は和訳と英文がセットで読めるシリーズで、名作小説や偉人伝など種類が豊富です。
記事の概要がわかっていると、高い理解度を保ちながら読むことができるので、モチベーションが下がりにくいという利点があります。
このトレーニングは英語の総合力を底上げしてくれるので、TOEIC®やTOEFL®など、英語のテストの点数アップにもつながります。ぜひ試してみてください。
(本原稿はD・セイン著『最低限の単語力でもてっとりばやく英語が話せる』を編集して掲載しています)
米国出身。社会学修士。日米会話学院などで約30年にわたり1万人以上の日本人に英会話を教えてきた経験を生かし、数多くの書籍を執筆。また、英語学校の運営や英語学習書の制作を行うAtoZ Englishを主宰。エートゥーゼット英語学校の校長を務めるとともに企業、学校等でビジネス英語、TOEIC、日本文化を英語で紹介する講演会やセミナーを開催。「日本文化を紹介するのは最高のおもてなし!」をテーマにした英語学習サイト「和カルチャーEnglish」(www.waculture.com)も運営している。著書は『日本人のちょっとヘンな英語』(原案。アスコム)、『ネイティブが教える英語の語法とライティング』(研究社)、『英文法、ネイティブが教えるとこうなります』(共著。NHK出版)など累計400万部を超える。