日本人は英語を「のろのろ」読むから話せない

中学や高校で英語を習った人なら、たいていそれなりの単語力はあるものだ。にもかかわらず、いざ話そうとするとまったく言葉が出てこなくなるのはなぜなのか? 30年にわたって日本人が英語を話すための方法を考えてきたデイビッド・セイン氏が、この問題について、画期的な解決策を考案。そのメソッドを、このたび『最低限の単語力でもてっとりばやく英語が話せる――日本人1万人を教えてわかったすぐに話せる50の方法』にまとめた。
これは、とにかくしゃべれるようになること「だけ」をゴールにしたニュータイプの英語本。
「That sounds...」「I feel like...」「Let's say」など、一番使い回しの効く「最強のしゃべりだしフレーズ50」を厳選、どんな会話でも対応可能の「ネイティブの6つの会話パターン」に沿って紹介している。脳が最も効率的に記憶できる無料ダウンロード音声もついているので、「最短距離」で英語を話せるようになりたいという人なら絶対に必読の一冊だ。以下、その内容から一部を特別公開しよう。

大前提:てっとりばやく学ぶには「やること」を絞る

 英語には4つのスキルがあると言われています。「スピーキング」「リスニング」「ライティング」「リーディング」です。英語ができるようになるために、この中でもっともお勧めしたいのは、「とにかく読む」ということです。

 時間が無限にあるのであれば、4つのスキルの勉強にバランスよく取り組めばいいですが、時間のない中で「ともかくもてっとりばやく話せるようになりたい!」というのであれば、優先順位を決めて、いちばん効率のいいことからやるべきです。

 つまり、まずは本書でネイティブの会話パターンと、最も使い回しの効くしゃべりだしフレーズを頭に叩き込んで、いまの語彙でもそれなりにしゃべれるようにする。

 それからさらに上を目指すために、「読みまくる」ことで語彙を伸ばす。

 これこそが「ペラペラ」になるためのいちばんの近道です。

 英語をちゃんと読めるようになったら、間違いなくうまく話せるようになります。自分の気に入った素材であればどんなものでも構わないので、とにかくリーディングによるインプットを蓄積していきましょう。

2時間映画を「8時間」かけて見るのと同じ

「リーディングは退屈だから、好きじゃない」という人が結構いるようです。その感覚もわかります。でも、じつはスピード感のあるリーディングができるようになると、読むことが「快感」に変わっていきます。

 大切なのは読む速度なのです。たとえトピックがどんなに面白くても、ゆっくりしか読めなければ、どうしても退屈に感じてしまうものです。

 大好きな映画を4分の1の速度にして観たとします。2時間の映画だったら8時間。想像してみてください。どんな傑作でも退屈してしまいます。

 英文を「1分間50語」のペースで読むことは、いわば2時間の映画を8時間かけて観るのと同じことです。

 ネイティブの読書のスピードは、1分間150語だと「スロー」、250語で「まあまあ」、350語で「申し分ない」と考えられています。1分間500語以上で読めるとすれば、かなりの速読家といえるでしょう。

 日本人であるみなさんには、1分間に200語の速さで読むことを目指していただきたいと思います。これはネイティブがふだん英語を話すときの速度と同じです。

 1分間に100語以上を読めれば、日常会話には充分ついていくことができますが、1分間に200語のペースで読むことができれば、テレビニュースのアナウンサーやキャスターのかなり速い英語も聞いて理解できてくるはずです。どんな英語でも、ストレスなく聞き取ることができるようになるのです。

 1分間に200語の速さで「英語を処理する」ことができるならば、あなたの英語力は相当なレベルに達しているといっていいでしょう。読む際は、気になる単語をチェックしておいて、ライティングで使ったり、スピーキングで使ったりするようにしてください。使うことによって初めて、その語彙はしっかりと脳に定着します。

 速い速度で読むようにすれば、勉強が飽きにくくなるうえ、英語の4つのスキルのすべてに好影響があるのです

 リーディングには「速く読む」のほかにも、「自分がわからないことを見つけるようにする」「同じテーマの文章を集中的に読む」といったテクニックがあります(詳細は本書を参照)。

「同じテーマの文章を集中的に読む」というのは、語彙が似通っているため、理解しやすく、単語を覚えやすいからです。勉強は興味が持てなくては続かないので、自分の仕事や趣味の関係のものなど、何でもいいので、とにかく興味の持てるジャンルの文章を読むようにするのがおすすめです。