「世界レベルのサッカー」を
自分の強みにする

「18歳からではプロは無理」という日本での固定観念にとらわれずに、
視野を広げて海外に飛び出した自分の選択は間違っていなかったと確信している。

チャンスのなかった日本を見切ってアルゼンチンという強豪国に身を置いたことで、
日本とは異なる高いレベルのサッカー文化のなかで、
揉みくちゃにされながらもサッカーを学ぶことができた。

その後もサッカーで生きていくという揺るぎない夢を掲げて、
その舞台をより広く、フランスやスペインへと求めることができた。

「南米でサッカーをやっていました」という経験が、ヨーロッパで認められたのだ。
結果、日本という枠の外側に広がる「世界レベルのサッカー」を、
自分のスタンダードとして持つことができたのだ。

そうした「オンリーワンのグローバルな経験」が、
やがてアジア人初のヨーロッパ1部リーグ監督就任というキャリアにつながり、
さらにはグローバルに活躍する一流サッカー選手である本田圭佑氏と出会い、
彼の専属分析官になるという「貴重な経験」にもつながった。

そしてこれから(2018年7月現在)は、オランダの1部リーグ・SBVエクセルシオールでアシスタントコーチ/テクノロジーストラテジストとして、新たな挑戦を続けていく予定だ。

本田圭佑選手の専属分析官がとった意外な選択。キャリアの「遅いスタート」を挽回する方法SBVエクセルシオールのTwitter(2018/7/2)より。ベルギー出身のジェンティ・カエネピール選手と先日のワールドカップロシア大会の決勝トーナメント、日本対ベルギー(写真ではベルギー対日本)の試合予想をしている様子。 https://twitter.com/excelsiorrdam/status/1013819674075844612

ミリオンセラーの書籍『嫌われる勇気』のなかにこんな一節がある。

「われわれは過去の経験に『どのような意味を与えるか』によって、自らの生を決定している。
人生とは誰かに与えられるものではなく、自ら選択するものであり、自分がどう生きるかを選ぶのは自分なのです」

「『経験それ自体』ではなく、『経験に与える意味』によって自らを決定する」

という言葉に、僕は大いに共感した。

周囲から「無理だ」「無謀だ」と言われた18歳からのチャレンジは、「経験それ自体」を見れば、必ずしも大成功とは言えないだろう。むしろ失敗や挫折のほうが多かった。
しかし、「経験に与える意味」は、高度な技術や戦略だったり、グローバルな視点だったり、トップの世界で得た知見や仲間だったりと、失敗や挫折以上に大きなものだったように思う。

※次回は、いくつになっても、いつからでもできる、自身の才能を見つけ方についてご紹介する。
(次は7月15日公開予定です)