「ポイント制」で選挙を実施する

 さらに、多数決のあり方も見直すべき点があると思います。たとえば、1人1票ではなくポイント制にして、3ポイント、2ポイント、1ポイントといった点数で票を複数に割るような制度もいいかもしれません。

 情報社会では、人々は特定の所属意識のみを持つのではなく、複数のタグをその都度切り替えながら生きています。こうした時代では、特定の候補者に自分の1票すべてを託すことは難しい。むしろ、関心のあるイシューに応じて、支援したいと思う候補者も異なるのが当然です。しかも1人1票で大勝した党は、マニフェストに書かれている100ぐらいの政策がまるごと承認されたかのような雰囲気で振る舞ったりするわけです。それは有権者の感覚とは違います。

 であれば、1人が持ち点を複数の候補者や党に割り振れるようにしたほうが、私たちの生き方や関心の持ち方に即した選挙結果をもたらすはずです。

 ここに挙げたアイデアは一例です。ほかにも、さまざまなアイデアがありえるでしょう。重要なことは、現在の選挙制度にはまだまだ改善の余地があるということです。
 ただ、選挙制度というのはなかなか変わりにくい。選挙制度を実際に改革するのは政治家ですから、自分たちに不都合な改正はしたがらないのです。

 この点に風穴をあけるのであれば、公職選挙法や政治資金の規正などに関わるような法律においては、議員とは違うメンバーから構成される第三者委員会を設置し、そこでの意見を最大限に尊重するような法律をつくるべきでしょう。

 もちろん、第三者委員会も国会によって任命される形式をとるならば、国会で多数派を占める与党の声が人選に反映されるようになってしまうから十全とはいえません。これを防ぐには、各党の代表者が必ず2人ずつ参加するといったかたちで、フェアな議論ができるような委員会を設計する必要があります。