夏休みと言えば、作文・読書感想文の宿題があるお子さんも多いのではないでしょうか。7月のうちに終わらせることができる家庭はすばらしいですが、夏休み終わりに書く家庭も少なくないでしょう。そんな作文・読書感想文も、すぐに書けるコツがあるのです。そして、大人も学び直しに納得の「型」です。
46年間、教育一筋――都立中高一貫校合格者シェア52%で業界1位、都立高合格者数1位を獲得した東京都随一の学習塾「ena」の学院長である河端真一氏の最新刊『3万人を教えてわかった 頭のいい子は「習慣」で育つ』がいよいよ発売。結果を出すことで証明してきた、その教え方・学ばせ方は、まさに、最強にして最高の子育て論であり、塾教師としての立場でできることではなく、家庭にいる保護者ができることをまとめたのが本書です。
本連載では、子どもたちにとって貴重な時間を保護者としてどう接するか、保護者の対応次第で子は変わるということを実感していただき、今すぐできることを生活に取り入れてください。この夏休みからぜひ取り組んでほしいことを、本書から一部抜粋し、やさしく解説していきます。

親子でさくっと夏休みの宿題を終わらせよう!

 今、世界の高等教育において最も重視されている能力は何かご存じでしょうか。

 それは、「エッセイ(論文)」を書く能力です。

 海外の大学入試では、エッセイを書けなければ合格することはできません。入学後の授業でも、課題の多くはエッセイ形式で出されます。作文力がなければ、いい成績を取ることはできないのです。

 日本においても、作文の重要性は認められつつあります。たとえば、中学受験でも、公立中高一貫校や一部の私立中学の入試においては作文が課されます。

 また、社会に出てからは自分自身をいかにしてアピールするかという能力が求められますが、そのベースとしても作文のスキルは重要です。

 将来、我が子を世界で活躍できる人材に育てたいというのであれば、なおさら作文力を鍛えておく必要があります。

 ところが、日本の小中高校では、授業で作文を習うことはあまりありません。したがって、ほとんどのお子さんは作文が苦手です。

 でも、作文はとても簡単なのです。

 文章の型を知って、その型に当てはめていくだけで、誰でもスピーディーにまとまった文を書くことができます。その型の一つが、私の塾で開発した「いりたまご」です。

・い(意見)………与えられたテーマに対して自分がどう思ったかを提示する。
・り(理由)………そう思った理由を説明する。
・た(たとえ)……意見や理由に対する具体例を挙げる。
・ま(まとめ)……ポイントをまとめる。
・ご(誤字訂正)…誤字脱字、汚い文字を見直す。

 この順番に書いていくだけです。

 たとえば、「ある二つの国の首脳が数十年ぶりに会談することになった」というニュースがあり、これについて意見を述べよという作文問題があったとします。これを「いりたまご」に当てはめると、

・い(意見)……両国の首脳が直接会って話をするのは、とてもいいことだと思った。
・り(理由)……なぜなら、話し合いを通じて戦争状態が解消する可能性があるからだ。それによって世界にもいい影響がある。
・た(たとえ)…たとえばアラブ諸国などで起きている国際紛争も、トップ同士が話し合うことで、解決に向かうかもしれない。今回の会談はその糸口となる。
・ま(まとめ)…積極的な話し合いを通じて、人類の歴史がいい方向に向かうことを期待してやまない。

 といった具合になります。少々流れが強引なところはありますが、小学生の作文ならばこれでも十分です。

 この型を覚えていれば、どんな子でもすぐに作文を書き始めることができます。

 私の塾では、子どもに年間200本くらい作文を書かせます。彼らは「いりたまご」を活用し、問題が配られたらすぐに書き始めています。

 型を知って、そして練習を重ねることで、頭で考えなくても自動的に文章が書ける力を身につけているのです。

 この「いりたまご」は、入試の作文だけではなく、学校の授業での作文や夏休みの宿題の読書感想文でも通用します。

 読書感想文の書き方というと、「まず本の要旨を書いて、自分の感想を書いて……」というのが主流ですが、読む側の先生にしてみればあまり面白くありません。それよりも、最初にバーンと意見が書いてあるほうが引き込まれます。

「いりたまご」は、採点者ウケのよい作文を書く方法ともいえます。

 なお、「いりたまご」はあくまでも、簡単に作文を書ける型の一つと考えてください。レベルが上がれば、他にもいろいろな型を活用できるようになります。

 2020年の大学入試改革を受けて、中学や高校でも作文を書く機会は増えていくと思われます。そのときに、迷わずすぐに書けるというのは大きな武器となります。作文を得点源にできれば、受験にも自信を持って臨むことができます。ぜひお子さんに「いりたまご」を教えてあげてください。

【POINT】

作文は「意見→理由→たとえ→まとめ→誤字訂正」の順で、
大人顔負けの文章になる。