ディスカッションは「同じ方向」を向いて行う

 最後に、「アイデア会議」のレイアウトについて触れておきましょう。
 私は、下図のようなレイアウトで行うようにしていました。

できるマネジャーがやっている、「アイデアの連鎖」が始まる会議の技術

 最初の10分でアイデアを付箋に書いてもらうときには、みなデスクに向かいますが、そのあとは、全員にホワイトボードの前に集まってもらって、グルーピングからディスカッションまでを行います。

 これは非常に効果的な手法です。なぜなら、座席についたままだと参加者が正面に向かい合う形になってしまうからです。その構図は「対立」を生みやすく、ブレストには不向き。それよりも、ホワイトボードの前で横並びになって、全員が同じ方向を向いて、アイデアの書いてある付箋と向き合うほうが、フラットな共同作業者としての認識を共有しやすいのです。

 そして、お互いのアイデアを「否定」するのではなく、出てきたアイデアに乗っかって、さらに効果的なアイデアが出せないかと知恵を絞る。ここで大切なのは、「正解」を見つけ出すことではなく、アイデアを連鎖させて新たなアイデアを次々と生み出すことです。自分のアイデアをもとに誰かが新しいアイデアを出してくれれば、誰だって楽しくなってきます。この循環を生み出すことに集中することが重要です。

 もちろん、時には、ディスカッションがテーマから脱線してしまうこともありますが、それも、「アイデア出し」が盛り上がっている証拠。決して悪いことではありません。ファシリテーションをするプロジェクト担当者は、「テーマと違います」などと否定するのではなく、「そのアイデアを、今日のテーマに結び付けられませんか?」などと、やんわりと軌道修正を促せば十分でしょう。

 そして、ディスカッションが盛り上がれば、自然と豊富なアイデアが手に入るとともに、参加者に「楽しかった」という満足感が芽生えます。この満足感が、プロジェクトを推進する原動力にもなってくれるのです。

 そのためには、参加者が「同じ方向を向いてディスカッションをする」というシチュエーションがきわめて重要なのです。