課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。ところが、私たちには「会議術」を体系的に学ぶ機会がほとんどありませんから、悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか?そこで、ソフトバンク在籍時に「会議術」を磨き上げ、マネジャーとして大きな実績を残した前田鎌利さんに『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました。本連載では、その内容を抜粋して掲載してまいります。

できるマネジャーがやっている、「アイデアの連鎖」が始まる会議の技術

できるだけ「他部署の人物」を巻き込む

 私は、ソフトバンクのマネジャーだったころ、新規案件の検討を開始するような段階で、関係者を集めて「アイデア会議」というブレストを頻繁に行いました。
 プロジェクト担当者ひとりでは発想に限りがあるため、関係者に集まってもらって、自由にアイデアを出してもらうのです。そして、発想を大幅に広げることによって、そのなかから「最適解」を導き出すことができるので非常に有意義なものでした。

 ただし、実りあるブレストをするためには注意点があります。

 まず重要なのが、参加者の選定です。そのテーマに知見のあるチームのメンバーに声をかけるのはもちろん、この段階で、そのテーマに関係する他部署の人物に入ってもらうのがベスト。

 たとえば、小売店チェーンの本社営業部でショップの来客数増というテーマで「アイデア会議」を行うあれば、店舗の店長やスタッフなどに参加してもらうのは必須でしょう。現場をいちばんわかっているのは彼らですから、リアリティのあるアイデアを出してくれるはずですし、現場で対応するのは彼らなのですから、議論のスタート時点からかかわることによって、最終的に意思決定された施策に自発的に取り組んでくれる可能性が高まるからです。

 このように、ブレスト会議には、単に「よいアイデアを集める」という機能だけではなく、実行段階において高いパフォーマンスを上げるために、関係者を巻き込むという重要な機能があることを忘れてはなりません。