これからの英語教育において
本当に「聞く」「話す」は必要か
高校まで大分県で育ち、津田塾大学進学。卒業後、大分県の私立高校で2年間英語教師として教壇に立つ。結婚後、夫の勤務先の奈良県へ移り、以降は専業主婦。3男1女を出産した。3兄弟が揃って、灘中・高等学校に進学し、東京大学理科Ⅲ類に合格。長女も洛南高校付属中学、洛南高校に進んだのち、東大理3に現役合格。4人の子ども全員が東大理3に合格するのは非常にまれなケースで、その受験テクニックや子育て法に注目が集まる。現在、進学塾の浜学園のアドバイザーを務めながら、全国で講演活動を展開している。
河端 2020年度から大学入試制度が大きく変わることが話題になっています。佐藤さんはどのようにお考えですか?
佐藤 英語でリスニングが重視されるようになるなんて、たいした変化じゃありません。「おたおたするな」と思っています。大事なのはやはり数学・国語です。だから今の小中学生も、基本である読み・書き・計算を鍛えるべきです。
河端 英語教師として言わせてもらえば、英語はまず「書く」「読む」が大切なんです。大学入試改革では「聞く」「話す」にも比重が置かれた試験が行われようとしていますが、東京大学はそのことについて疑問視しています。聞く・話すなんて、5歳の子どもでもできますからね。
佐藤 そうなんですよ!
河端 日本で一番日本語の上手な外国人は相撲取りです。彼らは全く日本語を知らないで来日しても、すぐに流暢にしゃべれるようになります。日本人だって必要に迫られれば、「聞く」「話す」はいつでもできるようになるということです。
佐藤 私はずっと奈良に住んでいますが、いつの間にか、駅員さんやバスの運転手さんなど皆さんが外国人観光客に英語で対応するようになっていました。最近、外国からの観光客が多くなったので、必要に迫られたのだと思います。
河端 ある企業の社長が言っていましたが、そこに勤める人は全員中国語ができるそうです。中国人観光客に対応しようとするうちに、しゃべれるようになっちゃったとか。「話す」「聞く」語学は、学校で習わなくてもいいってことですよね。ただ、やはり文法ができないと、5歳レベルの会話はできても、論理的な会話はできない。これでは学問やビジネスの場では通用しません。
佐藤 ダメですね。
河端 だから大切なのは「書く」「読む」です。論理的な会話ができるかどうかは、「書く」「読む」がベースになるからです。そして「書く」「読む」は簡単には身につきません。海外の大学に留学したときに、「論文読めません」「エッセイ書けません」では話にならないわけです。
佐藤 将来のことを考えても、まず「書く」「読む」を学ぶことが大切というわけですね。