日銀が政策を「玉虫色修正」、金融正常化を曖昧にし続ける理由Photo:PIXTA

日本銀行が7月末の政策決定会合で決めた「政策修正」は、金融緩和の「強化」や「維持」から「実態は金融正常化策」とする見方まで、受け止め方が分かれた。それも当然の話で、日銀はあえてどちらとも受け取れるものにしたからだ。金融正常化に踏み出したい「本音」は隠したまま、官邸やリフレ派、為替市場に配慮しながらの苦心の「日銀式出口戦略」の前途は多難といわざるを得ない。(ダイヤモンド・オンライン特任編集委員 西井泰之)

緩和継続・強化なのか、縮小なのか
「玉虫色政策修正」に惑う市場

 日本銀行は、7月31日の金融政策決定会合で、2018、2019年の物価見通しを下方修正する一方で、政策金利の「フォワードガイダンス」を導入し、従来の長短金利操作を「当分の間」続けることなどを決めた。

 その上で、黒田東彦総裁は会合後の記者会見で、これまで誘導金利(長期金利でゼロ%程度)の「プラスマイナス0.1%」としてきた長期金利の変動幅を、「倍程度(プラスマイナス0.2%)に広げる」と表明。長期金利の上昇を“容認”した形だ。

 ただ、物価見通しを下方修正しながら、金利上昇を容認するという分かりにくさに、市場は神経質な動きを続けている。

 新発10年物国債の流通利回りは、8月2日には0.145%まで上昇、約1年半ぶりの高水準をつけたが、その後、再び低下した。日銀がどこまで金利上昇を容認するのか、逆にどの水準で金利を抑えに動くのか読めないからだ。