それなのに
粉飾に手を貸す税理士もいる
そうかと思えば、明らかに“クロ”なことに手を貸す税理士もいます。
九州の葬祭会社を担当している税理士と議論になったことがあります。
その税理士は、いわゆる地方の名士として認識されているような先生でした。葬祭会社の決算対策として、私はある提案を行いました。
仏壇や仏具など特売時の値引き分を「棚卸資産処分損」として特別損失にし、営業利益を黒字化するというものです。
しかし、税理士には、この方法は理解してもらえませんでした。かたくなに「そんな方法は理解できない!」とおっしゃるのです。
私の指導は、銀行対策として決算書の見せ方を工夫するものです。粉飾をしているわけではありません。
その一方で、その税理士は、社長からの次のような依頼には応じているのです。
「先生、今期も売上調整で5000万ほどしたいので、よろしくお願いします」
これは、翌期(4月)の売上の一部を、当期(3月)の決算に入れることを意味します。
顧問先のことを考えるなら、粉飾決算は絶対にやってはいけません。
ちなみに、粉飾決算をしても、税務調査で文句をいわれることはありません。税務署からすれば、「利益を水増ししてまで税金を払ってくれて、ありがたい」からです。
私は、社長を説得して、粉飾をやめさせて申告してもらいました。その代わり、決算書を工夫して、営業利益を増やしてもらったのです。
決算報告の際、そのことについて銀行から何もいわれることはありませんでした。