「ヒト」ではなく「コト」に向き合う

 そして、常に、「何かを成し遂げる」ことに集中することです。
「ヒト」と向き合うのではなく、「コト」と向き合うと言ってもいいでしょう。相手の非を責めるためのコミュニケーションではなく、「どうすればコトを完遂できるのか?」を見出すためのコミュニケーションに徹するのです。

 たとえば、メンバーが何らかのトラブルを生み出した場合であれば、その責任追及などは脇に置いて、まずはトラブルの解消に集中する。そして、トラブルを乗り越えて、いかに目標達成を成し遂げるかに全力を注ぐ。そのためにリーダーシップを発揮するのが、マネジャーの仕事なのです。

 もちろん、「サボる」「責任感がない」など、仕事との向き合い方に根本的な問題があるメンバーには、適切にそれを指摘して、改善を促す必要はあります。ときには、叱責も避けるべきではないでしょう。しかし、それも、あくまで「何かを成し遂げるため」という方向性からズレて、「人格否定」のようなニュアンスを帯びてしまえば、メンバーのモチベーションと良好な信頼関係を損ねる結果を招きます。

 ですから、マネジャーは、メンバーという「ヒト」と向き合うのではなく、あくまで「コト(課題)」に向き合うことを徹底すべきです。そして、メンバー全員と同じ「コト」の方向を向いて、「どうすれば成し遂げることができるか?」とコミュニケーションを取る(下図参照)。これができるようになれば、チーム内のコミュニケーションはかなり良好な状態になるはずです。

ダメなマネジャーは「部下」と向き合い、優れたマネジャーは「課題」と向き合う