「指示」より「質問」を基本とする

 では、どうすれば「聞く」ことができるか?
 方法はひとつです。「指示」するのではなく「質問」することを第一に考えるのです。メンバーの「報連相」を聞いて、すぐに「指示」をしたほうが速いケースは多々ありますが、それでは「自分の頭で考える」というプロセスがなくなってしまいます。そして、「指示待ち人間」をつくってしまう結果を招くでしょう。

 それよりも、多少、手間はかかっても、まずは、「君はどうしたいの?」「どうすべきだと思う?」と質問をする。その回答に疑問点があれば、「否定」するのではなく、「なぜ、そう思うの?」とさらに質問をする。そして、自らの頭で最適解を見出すのを促すようなコミュニケーションを基本にすえるのです。

 ただし、「誘導尋問」になってはいけません。マネジャーが「答え」を知っており、その「答え」に導くために「質問」を繰り出す、というコミュニケーションは、むしろマイナスの効果さえ生み出しかねません。「誘導」されていることを、メンバーは敏感に察知するために、良質なコミュニケーションの根本にあるべき信頼関係を損ねてしまうからです。