「何度もあります。誰かに対して内心『すてきな女性だ』と思うことは数えきれないくらいある。でも一線を越えるか越えないかは雲泥の差です。性欲を含めて『相手をすてきだ』と思う気持ちに蓋(ふた)をすることはできないので、それだけは自分に許しています。

 妻と付き合いたての若い頃は、他の女性を素敵だと思う気持ちにすら罪悪感を覚えていましたが。『自分に甘くなった』というよりは、『歳を重ねて柔軟になった』のだと思いたいですね(笑)」(Cさん)

 そんなCさんも一線を越えそうになった経験が一度だけあるそうだ。

「結婚して5年目くらいだったと思いますが、出張で札幌に行き、ある取引先から接待を受けていました。札幌にはご存じ、歓楽街すすきのがあります。最初はすすきのの居酒屋で地元の料理に舌鼓を打っているだけでした」

 その日はいつもより酔いがまわってしまった。Cさんを見てすすきのの風俗に興味が隠せない様子を見てとった取引先が、Cさんをソープランドに連れていくことにした。Cさんはほろ酔い加減で、興奮とも罪悪感ともつかない胸の鼓動を自覚しながら連れられるがままとなった。

 店に着くと待合室に通され、取引先の男性と一緒にソファに腰をおろして案内されるのを待つ間、Cさんの胸の鼓動はさらに大きいものとなっていった。

 やがて準備ができたようで、Cさんは部屋に案内された。対面した女性は大変美しかった。しかし、美人だったゆえにか否か、Cさんはそこで我に返ったそうである。

「ハッとして、一気に酔いが冷めました。こんな美人な相手と今から行為に及ぶのかという衝撃が、急に現実的なものになって実感されたというか」

 「このままでは不倫してしまう!」と焦ったCさんは、しどろもどろになりながら自分の意向を、言い訳まじりに伝えた。酔っ払ってこんなところまで来てしまったけど不倫はしたくない、けれども自分が今ここで踵を返して帰ったら相手女性の迷惑になるだろうから、申し訳ないがプレイはせずに話相手になってくれないか、と。