非上場のまま資金調達してどこまで成長の土台を作れるか――。『週刊ダイヤモンド』9月22日号の第一特集「新・価格の支配者 メルカリ」の拡大版として、メルカリの幹部たちのインタビューを特別連載でお届けする。6回目はメルカリの資金調達を取り仕切ってきた長澤啓・執行役員最高財務責任者(CFO)に、メルカリが日本初のユニコーンになれた理由などについて聞いた。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之、委嘱記者 村井令二)
この会社なら絶対にいける
人を見てそう思った
――長澤さんはゴールドマン・サックス(GS)からメルカリに参画という異色の経歴ですが、その経緯を教えてください。
GS時代に2010年から11年にかけてサンフランシスコのオフィスにいました。ちょうど非上場の会社でユニコーンが生まれ、ウーバーやAirbnb(エアビーアンドビー)が勃興し始めた頃ですが、それを見て、日本でもベンチャーが大きく育つ時代が来るんだろうなと思いながら過ごしていました。
そして東京に戻ることになり、日本で大きく育ちそうなベンチャーはどこだろうと思って、色々と調べていたんです。純粋に証券会社の仕事として、ビジネスチャンスになるのでやっていたことです。そして人脈を作りたいというところから始まって、色々なところに顔を出していた中で、小泉(文明)さんを紹介してもらう機会があったのです。
小泉さんに初めて会ったのは2014年終わりか15年初めの頃で、証券マンとして「会社の調子どうですか」みたいなCFOに聞くような質問をしていたんですが、そこで小泉さんが「僕はもうCFOはやりたくなくて」という。そして、そのまま「興味あったらウチどうですか?」という話をいただいてしまいました。
そこから入社まで半年以上かかってしまったのですが、会社の近くで面接をして、(山田)進太郎さんとも一緒にご飯を食べて色々な話をしました。山田は会うまでどんな人なのかわからなかったけれど、実際に会ってみると、すごく地に足が着いた人という印象を持ちました。一昔前はインターネットの経営者ってだいぶ違うイメージだったけど、山田はサービスに向き合うタイプの経営者で、それは好感が持てました。
そして、山田が真摯にグローバル展開に取り組んでいるところも大きかった。メルカリのグローバル展開がだめなら他の会社もぜんぶだめなんじゃないかという人もいます。こうやって純粋にグローバルを狙っている会社で、僕も役割を果たしたいと思いました。
僕は三菱商事やGSにいたけれど、もっと面白い仕事を探していたんです。そこでメルカリに出合って、ユニコーンになれるほどのポテンシャルを感じました。数字をみても明らかに伸びていましたが、この会社の経営陣だったら絶対に行けるだろうなという、まさに人をみてそう思ったわけです。