職場でのセクハラやパワハラが横行している現代社会。しかし、特に男性のにおいにより周囲を不快にさせる“スメルハラスメント”も社会問題化しつつあるという。日本人男性の体臭や口臭がきつい原因や、その対策法などを予防医学が専門の内科医兼産業医で、著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』がある桐村里紗氏に聞いた。(清談社 福田晃広)

30代半ばから生じる
早期「加齢臭」

日本人の口臭にがっかりする外国人は多い外国人の多くが問題視するのは、日本人の体臭ではなく口臭――欧米人だって体臭はくさいじゃんという反論はさておき、自分の健康のためにも、正しい口臭対策を知っておく必要がある Photo:PIXTA

 2017年5月、マンダムが東京・大阪で25~49歳の働く男女1028名(男性525人、女性503人)を対象に行なったインターネット調査によると、「ビジネスシーン(職場)において、同僚など周囲の人の容姿や身だしなみで『どうにかしてほしい』と思うのはどんなことですか?」との問いに対して、1位が体臭(67.1%)、2位が口臭(60.2%)という結果だった。

 同社は、2014年5月にも同様の調査を実施しているが、3年たってもにおいが上位を占める傾向は変わらず、体臭は6.7ポイントも上昇している。体臭、口臭は職場において、深刻な問題といえるようだ。

 いわゆる加齢臭といえば、40代過ぎから発生するとされているが、30代から発生する早期の加齢臭がある。その原因について、桐村氏は以下のように説明する。

「男性ホルモンには、皮脂の分泌を促す作用があるので、男性の方が女性に比べて、皮脂分泌が多い傾向にあります。もともと皮脂にはにおいはないのですが、皮脂の中にある脂肪酸という成分が酸化(劣化)することで、ペラルゴン酸という悪臭成分に変化し、ミドルエイジ特有の、使い古した油のような独特な体臭になってしまうのです」(桐村氏、以下同)

 一方、女性ホルモンには抗酸化作用があるため、女性の皮脂は劣化しにくいという。閉経後は、女性でも男性ホルモンが優位になるので、皮脂は劣化しやすくはなるが、その年齢になるとそもそも皮脂分泌が減少してくるので、60代になっても30代並みの皮脂分泌を誇る男性ほどは、においづらいといえる。そのため、加齢臭などの体臭は男性特有のものなのだ。