業種別の動向を見ると、鉱業、建設、製造業からなる財部門は前月比4.6万人増でした。このうち建設は同2.3万人と増分の5割を占めています。大半が非住宅部門ですから、トランプ大統領の財政拡大策の効果が表れてきたと見られます。一方、サービス部門は同7.5万人増と、前月の同23.3万人増から大きく鈍化しました。特に小売、飲食、教育・医療の悪化が目立ちます。もっとも、ハリケーンの影響によるところが大きく、雇用の基調が変化したわけではないと考えられます。

 次に平均賃金は前月比0.3%増となりました。前年比では2.8%増となり、8月の同2.9%増から鈍化しました。昨年9月の賃金がハリケーンの影響で押し上げられたことによるもので、本来なら前年比の伸びは、もう少し高いものになっていたはずです。実際、10月の賃金は、多少の反動により前月比0.1%程度の低い伸びに止まったとしても、前年比の伸びは3%に到達することになります。そうなれば、2009年4月の同3.4%以来の高い伸びになります。

 ともあれ、これで前月比0.3%の伸びが3ヵ月続いたことになり、ここ数ヵ月間で賃金の伸びが僅かながら高まってきました。景気拡大のペースが加速するなか、人手不足感がさらに強まっている可能性を示唆するものです。実際、Amazonの最低賃金引き上げ等、賃上げの報も増えているようです。

 9月の賃金統計は、ハリケーンの影響を受けていると見られますが、自発的離職者の増加や、フルタイムの仕事が得られず、パートタイムの職を選択せざるを得なかった非自発的なパートタイマーの減少など、賃金にとって前向きな動きが強まっていることに間違いはありません。今後、賃金水準の高いビジネスサービスセクターの賃金増加率が高まってくれば、全体の賃金上昇にも一段と弾みがつくと見られます。

失業率は約49年振りの低さ、
労働需給は相当に引き締まってきている

 一方、家計調査の代表的な指標である失業率は3.7%となり、前月の3.9%から大きく低下しました。69年12月に記録した3.5%以来、実に約49年振りとなる低い水準です。労働力人口(労働供給)は増加しましたが、それを上回るペースで就業者数(労働需要)が増えたためです。就業者の内容をみても、正規雇用、パートタイマーともに増加しましたが、正規雇用の伸びがパートタイマーの伸びを上回っています。このほか、週平均労働時間は前月比横ばいの34.5時間でした。天候の影響を受けやすい鉱業や建設の労働時間は減っているものの、他の業種が補ったようです。