いわゆる「シルバーモンスター」からのセクハラまがいのクレームに手を焼いていた若い女性オペレーターにとって、非常に頼りになる存在である。

電話を代わってもらえば、しつこいクレームもたいてい解決した。商品に関するクレームだけでなく、寂しい心情を吐露するシルバーモンスターに対しても、同世代の人間として共感を示しながら親身に耳を傾けることで、クレームが収束するばかりか、感謝されることもあった。

この職場は、頼りがいのあるOBが身近にいることで活気を取り戻している。

驚くことに、引退後、長らく体調を崩していたその75歳の男性OBも、みるみる元気になっていった。

(了)

今、人手不足が深刻化する一方、高齢化が加速し、理不尽な要求を繰り返す高齢者、いわゆる「シルバーモンスター」が急増しています。

しかし、この事例のように、同じ高齢者だからこそ対応できるクレームもあるのです。シルバー人材をクレーム対応のエキスパートに育てることが、有効なクレーム対策になる可能性は高いでしょう。

頼りになる「助っ人」の探し方

社外とのつながりという意味では、宅配業者グループが製品の回収を代行するサービスも一例として挙げることができるでしょう。

通常、企業はリコールや自主回収に際しては、お客様を訪問して製品を回収しなければなりません。ところが最近、チラシなどによる告知から、お客様からの電話受付、代替品の発送、製品の回収などまで、一連の回収作業を代行するサービスが注目されています。

このサービスを利用するメリットはいろいろ考えられますが、1つ挙げれば、回収するのが「当事者」ではないため、玄関先でお客様からの誹謗を免れるということです。つまり、宅配業者という第三者にクッション役になってもらうことで、クレームの肥大化を回避するわけです。

もちろん、回収を実施するまでの対応では誠意を尽くさなければなりませんが、クレーム担当者の負担が軽減されることはたしかです。

また、外部からのサポートという点では、私のようなクレーム対応コンサルタントも、その一翼を担っていると自負しています。そこで最後に、警察OBのサポートについて述べておきましょう。

企業は、リスクマネジメントやクレーム対応のために、警察OBを顧問にしたり、相談役にすえることがあります。また、病院では、多発する暴力事件に備えて「院内交番」を設ける場合もあります。さまざまな事情で、警察OBのサポートが検討されていますが、大切なのは「どのような人材が必要なのか?」をしっかり吟味して依頼することです。

一般的に、60歳の定年まで勤め上げた警察OBが相談役として民間企業に再就職する場合、警察に顔がきくことから、暴力団絡みのトラブルや暴行、恐喝などの「事件」が起きたときには心強いでしょう。ただ、事件にならないもめごとの段階で、気安く相談できるかどうかは、その人の人柄や考え方によると思います。厳格な警察OBからは、「もっとしっかりしなさい!」と、お叱りを受けてしまう可能性もあります。

一方、私のような経歴の警察OBは、クレームの相談を受けたからといって、県警本部や所轄の警察署で知り合いに声をかけるようなことはしませんが、その代わり、自分自身の経験を生かして現場の声にしっかりと耳を傾け、クレーム担当者が「迷路」に踏み込まないようにアドバイスすることを心がけています。

じつは、担当者自身、安易な方法(金品の提供や特別待遇など)では、根本的な解決にならないことを知っているのです。一時的にパニックになってしまったり、対応のしかたに95%の自信はあっても、残り5%に不安が残っているようなときに、私の携帯電話が鳴ることは多いものです。

「どのようなときに、どんな人にいて欲しいのか」を考えて、外部の助っ人に依頼するようにしましょう。

『クレーム対応「完全撃退」マニュアル』では、このようなクレーム事例をふんだんに紹介しながら、対面・メール・電話あらゆる場面における正しい対応法、ネット炎上を鎮火させる方法、高齢化に伴い増加している「シルバーモンスター」の実態と対策など、クレーマーの終わりなき要求を断ち切る23の技術を余すところなく紹介しています。

ぜひ、現場で使い倒していただき、万全の危機管理体制を整えた上で「顧客満足」を追求してください。

(参考記事)

「半殺しだよ」→「怖いです」
「SNSで拡散するぞ」→「困りましたね」
究極のクレーム対応“K言葉”の活用術