あいおいニッセイ同和損保のRPAルームあいおいニッセイ同和損保の台風災害への支払い請求対応のため、RPAが導入された会議室。パソコン25台が並び、人員は最少4人で業務が行える状態だ Photo:DOL

 今年9月4日、非常に強い勢力で上陸した台風21号は記録的な高潮と暴風をもたらし、関西空港の滑走路が浸水するなど関西地方を中心に甚大な被害が発生した。これにより増加しているのが、損害保険の支払い請求である。日本損害保険協会の発表によると、台風21号関連は9月12日時点で48万5659件にも上る。

 さらに同月、やはり非常に強い勢力の台風24号が近畿地方から東北地方を通過し、新たな被害が加わった。これにより損保各社では支払いのための事務が爆発的に増大し、対応に追われている。

 あいおいニッセイ同和損保保険では東京都内に災害対応拠点を設置し、派遣社員などの外部スタッフや社内からの応援等を合わせ過去最大規模の500人態勢を構築するとともに、RPA(Robotic Process Automation ソフトウエアのロボットによる業務自動化)を事務処理に導入し、短期間で劇的な業務効率化に成功した。

RPA導入までたった2日
災害対応で50人規模の業務を最少4人に

「通常、40人~50人必要な作業を最少4人で回せるようになりました」と経営企画部プロジェクト推進チームの佐古田有宏担当次長は胸を張る。同チームは、以前より社内でRPAの導入を推進している部隊である。

あいおいニッセイ同和損保の損害サービス業務部の鎌形祐司グループ長RPA導入までの経緯を語る、損害サービス業務部・鎌形祐司グループ長 Photo:DOL

 保険金の支払いを担当する損害サービス業務部の鎌形祐司グループ長は「RPAの導入に要した期間はわずか2日」と驚きを隠さない。

「(台風に伴う)現場の事務処理量の多さに『これはまずい』と思い経営企画部に相談したところ、『RPAがマッチするのでは』と提案をもらって検討に入り、わずか2日で運用できるようになりました。こんなスピーディーに導入できることにびっくりしました」(鎌形グループ長)

 どのような事務処理にRPAを導入したのか。まず前提となる業務プロセスから見ていこう。