注目すべきは“データ解析”だ。自動運転用AIの精度を高めるには、できるだけ多くの走行画像データが必要になる。画像に写っているものを覚え込ませることでAIは賢くなるが、そのためには数億㎞分の走行データが必要だといわれている。おそらくトヨタとソフトバンクは、走行中の車両を情報提供源(プローブカー)として使用して、AIの完成度を高める技術や、自動運行車両の走行状態データを取り込んで解析・蓄積といった作業を行うだろう。両社が発表したデータ解析事業には自動運転関連が含まれると考えて間違いない。

重複する提携相手
将来的に事業の整理が行われるのか?

 気になるのはすでに両社が行っている業務提携だ。トヨタは5G通信網を使ったコネクテッドカーの開発について、NTTグループおよびKDDIと提携している。ソフトバンクを加えると日本の携帯電話回線の大半を押さえることになるが、この点をソフトバンクはどう考えているだろうか。一方、ソフトバンクは米・ウーバーテクノロジーズ、中国の滴滴出行など自動運転やライドシェアサービス関連の企業と提携しており、これらの企業から人のトリップデータや交通データなどが入手できる。

 トヨタとソフトバンクを業種として見た場合、すでに両社は重複する提携相手を持っている。将来的に事業の整理が行われるのか、それともトヨタにとってソフトバンクは“提携相手のひとつ”にすぎないのか。この点は今後の両社の動向を見ないとわからない。

 ソフトバンク側は世界のライドシェア企業をすでに傘下に置いている。同社が出資したウーバーテクノロジーズや滴滴出行はライドシェア大手であり、自動車というハードウエアの企業として提携しているのはトヨタだけだが、世界各国でビジネスを展開するソフトバンクがトヨタとだけ特別な関係でいることがメリットではなくなる事態も考えられる。それぞれの分野で大きな影響力を持つ企業同士の提携がどうなるか、いろいろな業界が注目している。

(報告/牧野茂雄、まとめ/CAR and DRIVER編集部)