世界には2億人以上のフリークエント・フライヤーがいる。その優先順位や選好の変化を適切にとらえれば、どの企業にも大きなチャンスがある。

 やがて、このような航空会社の恥知らずな料金請求戦略は、自らの重さに耐えかねて崩壊するだろう。それは、顧客無視の追加サービスと収益確保を優先する製品重視の発想が招く憂鬱な帰結だ。

「空の旅」の近未来図

 将来の空の旅がどういうものになるか、ちょっとのぞいてみよう。飛行機に乗る前の、クルマや列車での移動からそれは始まる。

 ユナイテッド航空がウーバーとタイアップしたクルマをあなたの家に差し向ける。車内のモニターにはフライトやホテルの予約情報が表示されている。モニターのドロップダウンメニューで、機内サービスや機内食をあらかじめ選ぶことができる。目的の都市の鉄道情報も見ることができる。

 クルマがあなたの家に着く時刻は、フライトの時刻を踏まえて調整済みだ。あなたは車内で「ナルコス」を途中まで見て、飛行機で続きを見ることができる。

 空港では、クリア(CLEAR)のようなサービスによって、搭乗券の確認と生体認証によるスムーズなセキュリティチェックが行われる。そんなことが可能なのは、標準的なID情報が詳細なバイオメトリック情報とマッチングされているからだ。

 これらのサービスのすべてが、定額年会費のフリークエント・フライヤー・プランに含まれることになるだろう。

「ビジネスの観点に立てば、航空会社が何年も苦労していることは誰もが知っている」と、サーフエアの前コマーシャルプランニング担当副社長マック・カーンは述べている。

「航空会社の事業はきわめて資本集約的です。コモディティ化していることは言うまでもない。競争は激しく、価格には押し下げ圧力がかかります。
 でも、サブスクリプション・モデルなら収益は予測可能だ。そんなことができる航空会社はありません。彼らは飛行機のドアが閉まるまで、そのフライトが赤字か黒字かさえわからないのですから(でも飛ばなくてはならないことははっきりしている!)。
 サブスクリプションのおかげで、われわれは毎月の初めに収益がいくらか、正確にわかります。提供可能なフライト数もわかっているので、オペレーションを効率的に行うことができる。航空業界において、このようなインサイトは魔法といってもよいでしょう。これまで誰もこんなことはできませんでした」