すなわち、一人の人間の中から一つの「才能」が現れてくるときには、必ず、その「才能」に見合った「人格」が現れてきているのです。

そのことは、我々が、ビジネスパーソンとしての能力を論じるときに使う、次の言葉に象徴されています。

「彼は、性格的に、営業に向いていない」
「彼女の几帳面な性格は、経理向きだ」

このように、我々は、ある仕事についての「才能」があるか否かを、それに向いた「性格=人格」があるかどうかで判断しています。
また、だからこそ、例えば、最初、性格的に向いていないと思われた新入社員が、それでも営業の世界に投げ込まれ、苦労しながらも営業の才能を開花させ始めると、上司は、次のような言葉を語るのです。

「彼も、だいぶ営業マンらしい面構えになってきた」

すなわち、我々の中から、一つの才能が表に現れてくるときには、必ず、その才能に見合った人格が表に現れてくるのです。

従って、優秀な人が突き当たる、

つねに「真面目」に仕事をしてしまう

という壁を乗り越える技法は、

自分の中に「様々な自分」を育て、使い分ける

という「多重人格の技法」なのです。

どうすれば、自分の中に「様々な自分」を育てることができるのかについては、最新刊『なぜ、優秀な人ほど成長が止まるのか』にまとめさせていただきました。ぜひお手に取ってみていただければと思います。