a静かなるドンの手腕は、未知数だ。株式市場は疑念を抱いて見ている Photo:kyodonews

 近年のLIXILグループの動向を一口で言うと、「どこか中途半端でやり方が拙い」となるだろう。

 11月1日から、創業家2代目の潮田洋一郎取締役会議長(64歳。写真)が、約7年ぶりに持ち株会社の代表取締役会長兼CEOに復帰したことで、新体制に移行した。2016年6月より“LIXILの顔”だった前任の瀬戸欣哉社長兼CEO(58歳)は、表舞台からの退場を余儀なくされる。

 19年4月1日には、米経営コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニー出身で、16年6月からLIXILグループに関与してきた山梨広一社外取締役(64歳)が、経営の監督役から執行役へと転じて後任の社長に就任する。事業会社のLIXILでは、旧トーヨーサッシ(現LIXIL)出身の大坪一彦副社長(60歳)が社長兼COOに昇格した。

 今回の社長交代劇で、潮田オーナーは、米GE(ゼネラル・エレクトリック)出身の藤森義明氏(後にLIXILグループ社長兼CEO。現日本オラクル会長)に続き、住友商事出身でMonotaROなど複数のベンチャーを立ち上げたIT起業家の瀬戸氏まで、三顧の礼で迎えた“プロ経営者”を2代続けて更迭した。

 藤森氏は、米国や日本のGEで実績を積んできた経営手法の数々をLIXILグループに持ち込み、海外M&Aを駆使したグローバル化の推進によって一気呵成に会社全体を変革することを目指した。

 だが、中期経営計画の目標を一度も達成できず、中国の孫会社で勃発した粉飾決算騒動で約660億円もの巨額損失を出して、辞めざるを得なくなる。藤森氏がスカウトした外部人材は、その多くが結果的に社を去ることになった。