最高の投資をしようと思わず、まずは1回やってみるのが大切

柴山 まさしくお金がうまく回ったんですね。そういうご経験から、若い方に資産運用のアドバイスをされるとすると?

松本 1回、自分でリスクをとってみる、ということですね。投資の経験は非常に大きい財産になります。ただし、最初から最高の投資をしようと思わずに、失敗しても学ぶために投資をしよう、というマインドセットでやることが大切だと思います。100%うまくいかないと思ったほうがいいし、100%うまくいく投資家なんてほぼいません。
 それでも一歩踏み出さないと、そのまま継続的に投資できないし、学べることもない。だから、勉強することより、まず一回投資してみることが大事だと思いますよ。何を買えばいいかと聞かれれば、ETF(上場投資信託)か、あるいはウェルスナビもいいですよ、と答えます(笑)。

柴山 若い方に向けた、仕事選びの点でのアドバイスはどうでしょう。松本さんのキャリアを振り返ると、2009年当時にA.T.カーニーというコンサルティング会社を辞めて起業というのも、かなり大きな挑戦だったのではないでしょうか。おそらく、私より少し若い松本さんの同世代は、誰もが投資銀行やコンサルを目指した世代でしょうし。私は最後の公務員世代だと思いますが(笑)。現役の大学生たちに、就職先をアドバイスするとすれば、何を勧めますか。

起業の原資にもなった!ラクスル松本CEOが学生時代に始めた投資で得た教訓とは?<br /><br />今ならスタートアップへの就職を勧める、という松本ラクスルCEO

松本 今ならラクスルやウェルスナビといった、スタートアップに行くのがいいんじゃないですか。世の中がテクノロジー中心に変わっていくので、オールドエコノミーでの働き方・考え方といったOSをダウンロードしても使えなくなります。我々の会社であれば、これからの時代のアプリケーションをもっているので、ぜひ挑戦してほしいです。中国人やベトナム人などダイバースな同期も待っています。

柴山 中途応募であれば、どんな人に来てほしいですか。

松本 変化を作り出すことや、自分でこういうことをしたいと意思をもってデザインできる人ですね。向かないのは、プロフェッショナル意識が高いけれども、自分の専門領域が狭い感覚の人です。大企業だと仕事が細分化されているので、どうしても狭い機能に偏りがちです。スタートアップでは、さまざまな仕事をやらなければならないので、それをストレスなく楽しいと思える人。基本的には人が少なく、業務が「型」化してないので、自分で仕組みを作るのが楽しいと思える人がいいですね。柴山さんは?

柴山 今おっしゃった、新しいことに挑戦する、自分でやる、という条件に一つ加えるとすると、チームワークよくできる人ですかね。スタートアップって、事業もピボットしたり、やるべき仕事がコロコロ変わるので、新しい人たちとすぐ協力関係をつくることが求められると思うんですよ。自分の領域はここだけ、と決めるのではなくて、周りの人に助けてもらうマインドセットがスタートアップでは大事だと思いますね。

松本 そこは、本当にその通りですね。

柴山 今日は、「産業の仕組みを変える」をテーマにいろいろ伺えて楽しかったです。金融、印刷、テレビCMと、いろいろ共通点が浮き彫りになったと思います。どうもありがとうございました。

松本 こちらこそ、ありがとうございました。