JICが投資ファンドだとするならば、その経営陣は投資家に対する法律的な忠実義務を負うはずだ。

 だからこそ、我々民間独立系PEやVCは、後述するように、そのトップやパートナーがどれだけのトラックレコード(投資実績)や知見を有しているかを示して投資家に懸命に頭を下げて資金調達している。JICは、国民が投資家である。よって、我々以上に投資家への忠実義務が求められることは当然であり、仮にその存在が認められるとしても、トップの選任は慎重な上にも慎重になされるべきだ。

 JICの新しい経営陣について、「投資のプロにお任せする」という大臣のコメントがあるが、では新しい経営陣には、過去に資産運用業務のプロとしてどういう投資成功のトラックレコードがあるのか、国民の前に具体的に示してほしいものである。

「ノーリスク・ハイリターン」
「いいとこ取り」の報酬案

 報酬案には大いに疑問が残る。

 筆者も長年PEを運営している立場にあるので、この分野において有能なファンドマネジャー(資金運用担当者)を確保するためには競争力のある報酬を提示しなければならないことはわかる。

 ただし、それは実際に現場でファンドの運営を担う人材、具体的には、投資先を発掘し、最適な投資スキームを構築し、投資後は自らが投資先の経営を担って企業価値を向上させ、最終的には適切な先に売却するか株式を上場させて投資利益を確保する、という一連の流れを担う人材のことだ。

 このような優秀なファンドマネジャーに成果に応じた報酬を用意するのは適切な考え方である。彼らの報酬は、いわばマーケットが決めるものなので、事務次官や日銀総裁の報酬と比較すること自体、意味がない。特に、民間のファンドであっても「三顧の礼」で迎えるような素晴らしいトラックレコード(投資実績)を持つ人材が固定給と成功報酬の合計で高額な報酬になりえるのは、なんら不自然なことではない。