NISAや、個人向けの確定拠出年金(iDeCo)、さらに、会社で加入する企業型の確定拠出年金(企業型DCなどと言います)など、自分で、お金を運用(育てる)ための制度が多くなってきました。
その制度を利用するときには、必ず「投資信託」という商品が入っています。この投資信託(とうししんたく)とはいったいどんなものなのでしょうか?
『新・投資信託にだまされるな!』や、『税金がタダになる、おトクな「つみたてNISA」「一般NISA」活用入門』など著者累計45万部、大ベストセラーの著書がある竹川美奈子さんが、5年ぶりに改訂した『改訂版 一番やさしい!一番くわしい!はじめての「投資信託」入門』を上梓。
連載では、この新刊から、本当に良い投資信託をえらぶコツをご紹介します!

「分配金」は「預金の利息」とは違う

 投信にも、ふつうの会社と同じように決算日があります。分配金は投信の決算が行われたときに投資家に支払われるお金です。

 毎月分配型と呼ばれる投信は毎月決算を行うタイプで、決算のたびに分配金を支払うタイプの商品のことをさします。分配金については誤解されている部分もあるので、基本的なことを押さえておきましょう。

●分配金は必ずしも収益から支払われるとは限らない
●分配金の一部、または全部が投資した資金(元本)から払い戻される場合がある
●分配金は運用資産(純資産総額)から払い出されるので、分配金を支払えば運用資産はその分減り、基準価額もその分下がる

 分配金は、銀行の定期預金などの利息とは違います。投信とは別に、分配金を払い出す“別ポケット”があって、そこに分配金用の現金がプールされていると思っているかたもいるようですが、実際には、そのような別ポケットは存在しません。

分配金は投資の資産から支払われる

 また、そもそも「これから資産形成をしていこう」という現役世代は積極的に分配金を出す投信を購入する必要はありません。というのも、頻繁に分配金を出すと、運用益を再投資することによる複利効果が薄くなりますし、課税口座では分配金を受け取るたびに税金を差し引かれるからです。

 税金のかからない元本払戻金(特別分配金)もありますが、その場合、自分が購入した価格より値段が下がっているから税金が引かれないだけです。

 商品によっては分配金をなるべく支払わない方針のものもあります。交付目論見書には決算頻度や分配方針、過去の実績なども載っています。なるべく決算頻度が少なく(年1回または2回)、極力分配金を出さないものを選ぶことをおすすめします。

 それでも「年金代わりに」とお金を受け取りたいなら、毎月自動的に投信を解約するサービスなどを利用する選択肢もあります。分配金に頼るのではなく必要な分は解約をするというスタンスでよいのではないでしょうか。