不満を言うことで、「解決するための観点をたくさん出す」というのがまず一つ。目の前の問題を解決しようとするときにひとつの切り口だけで解決するのはたいへんなので、たくさん出す。それから、「アイデアカード」で、解決カテゴリーをシフトするというのがふたつめ。
そしてもうひとつ、ステップ3の「ネガポジ変換」の中に、「~ても大丈夫変換」というのが出てきます。これは、「目の前の問題を深掘りして、別の問題を設定する」ことによって、まったく異なるアイデアを手に入れるためのスイッチです。
――どういうことですか?
中沢 たとえば、「絶対になくさない鍵をつくりなさい」と言われたら、普通は「大きな鍵」「光る鍵」「離れると音が鳴る鍵」などを真っ先に思い浮かべると思いますが、これは、無意識のうちに「思考のフレーム」に囚われている状態なんです。知らないうちに「思い込み」に囚われているんです。
そこで、「ても大丈夫変換」をしていみる。こう言い切ってみるんです。「鍵をなくしても大丈夫」と。そして、「鍵をなくしても大丈夫ってどういうこと?」「どうなると、鍵をなくしても大丈夫になる?」と考えてみるんです。
――なんか、おもしろいですね……。
中沢 新しい発想が生まれそうな予感がしますよね? 「鍵をなくしても大丈夫」とは、つまり「鍵がなくても家に入れるから大丈夫」ということ。では、どうなると「鍵がなくても家に入れる」のか? 指紋認証で鍵が開けられるようにしてもいいし、スマホをかざせば鍵が開けられるようにしてもいいでしょう。
あるいは、「もしも泥棒が入っても、財産がなくならないから大丈夫」と考えることもできます。だったら、「家のすべての財産が盗難保証付のレンタル品」だったら、泥棒が入っても安心ですよね?
いずれにしても、「形のある鍵」にこだわらなくても、「絶対になくさない鍵」をつくるのと同じ効果を生み出すことはできるということです。
――なるほど。
風間 つまり、「ても大丈夫変換」をすることによって、「絶対になくさない鍵」という問題を、「鍵がなくても入れる家」「泥棒が入っても大丈夫な家」という別の問題に再設定した、と。
そして、その結果、狭かった「思考のフレーム」が大きく広がったのです。「ても大丈夫変換」は、このように無意識的に囚われていた「思い込み」を取っ払って、一気にアイデアの幅を広げるスイッチなんです。
このように、「idea Picnic」のプロセスを辿るだけで、自然と誰でも、思考の幅を大きく広げることができるんです。ぜひ、多くのビジネスパーソンに試していただきたいですが、特に、経営層のみなさまにやってみていただけるといいなと思っています。
現場でどんなにいいアイデアが出てきても、それをやるかやらないかと意思決定するのは経営層ですからね。彼らが、「思考のフレーム」に囚われていたら、いいアイデアが採用されません。僕は、「idea Picnic」を全社で体験したら、会社は大きく変わっていくと本気で信じているんです。
【了】