いじめは被害者家族全体をむしばむ
もう一つは、被害者家族への「いじめ二次被害」です。いじめによる児童への被害とは別に、事後、保護者もそれによって苦しむということです。“二次被害”といえば、例えば「セクハラ二次被害」があります。セクハラ被害を受けた女性が、事後、その状況を詳しく聞かれるなどで更に苦しむケースです。
当時、私も妻も長男の命を守ることを最優先にいじめ事件に必死に対応しました。校長や副校長ら学校側と何度も面談し、なかなか連絡がとれなかったいじめ中心者の父親を待ち伏せして、直撃したこともありました。
こうした日々を送るなかで、私たち夫婦は心身のバランスを崩しました。夜は2人とも眠れなくなり、私は耳鳴りを発症。妻は原因不明の腹痛に悩まされました。
妻は大きな病院で精密検査を受け、ストレスが原因と診断されました。しかし、腹部の違和感は2年経った今も続いています。
後期高齢者の私の母と我が家は絶縁状態になりました。いじめ対応で疲弊している私たちに「(長男に)精神科を受診させて薬物投与を!」「(長男の)名前がよくないからいじめられたのかもしれない。改名をしたら」などと強く言ってきたことがきっかけです。今になって考えると、高齢の母にとっての「常識」をもとにすれば、仕方ない発言もあったのかもしれません。
ただ間違いなく言えることは、いじめは、被害者は当然のこと、その家族の心身までも蝕み、家族関係を壊すほどの破壊力を持つということです。