カウンセリングと保護者ケア

 そのような状況の中、私たちを支え続けてくれたのがカウンセリングです。

 私と妻は、学校から紹介されたスクールカウンセラーと度々面会してきました。つらい思いを受け止め、時に適切なアドバイスをくださったお陰で、何とか最悪の事態を避けられました。

「いじめカウンセリング」といえば子どもへの対応、というイメージがありますが、保護者へのケアも重要です。

 いじめ被害を受けた子どもと向き合う際は、保護者ができるだけ心身ともに穏やかであることが大切です。家族など身近な人との「あたたかい関係」が、いじめ被害による悪影響を小さくするとの研究報告もあります。

 実際、妻はそういったアドバイスを受けて、できるだけ「よく待って」長男の声を聞くように努めました。そうして聞いた子どもの訴えは、まさに「心の傷」から溢れ出した言葉でした。長男は「いじめの風景」を自分なりの言葉で語り、その行為を通して少しずつ癒されていったような気もします。

「いじめ対応・最優先」を!

 日本のいじめ対策は、まだまだ不十分です。いじめ予防授業などの研究の進展も必要です。いじめ後遺症など「いじめ被害」による長期的な社会コストと比較すると、学校での予防教育プログラムの費用がいかに安いか、といった研究も海外ではあります。

 日本も「子どものいじめ対策」を早急に進めることが、将来的には「大人のいじめ」であるセクハラ・パワハラ対策、そして今後の外国人労働者問題の対策にもなるのではないでしょうか。

 また、現在の学校教育は「学力向上ファースト」ですが、最も大切なのは「安心できる安全な教室づくり」のはずです。それが結果的に学力向上にも繋がります。

「いじめ対応・最優先」。この発想が一日でも早く、全国に広まって欲しいと願っています。