2015年には347億円という2001年の株式上場以来、過去最大の赤字額を記録した日本マクドナルド。どん底の状況にあったマクドナルドを、マーケティング本部長(当時)として見事に再生させた立役者の一人が、11月21日に発売されたばかりの新刊『マクドナルド、P&G、ヘンケルで学んだ 圧倒的な成果を生み出す「劇薬」の仕事術』の著者、足立光(@hikaruadachi)氏だ。本連載では、P&Gからブーズアレン、ローランド・ベルガー、ヘンケル、ワールドというキャリアで学んできたことを辿る同作のエッセンスを紹介する。第9回は「人と会うこと」について。
月に20時間もの貴重な時間を無駄に使わない
コンサルタントとして働いていた頃、日々多種多様な業界のクライアントを相手にし、多種多様なプロジェクトに関わっていました。私がそこで痛感したことが、コンサルタントには圧倒的なインプットが必要だということです。
そして、本や雑誌を多読することはもちろんですが、何より貴重なインプットになるのは、いろんな人に会うことだ、ということに気づいていきました。
生の声が聞けるのは、本を読むのとはまた違う学びになります。何より、その場で「なぜ?」「背景は?」とかの、より詳しい話が聞けます。いろんな人に会うことは、インプットには、とても有効だと思いました。
それこそコンサルティング時代には、会社の同僚とはランチに行かない、と決めていました。ランチは、誰かと会って仕事の話を聞く時間にする、と考えていたのです。何も意識していなければ、ランチは当たり前のように近くに座っている同僚や、親しい仲間と食べに行ってしまうでしょう。実際、みんなそうしていましたが、私は絶対にやりませんでした。
週に5回のランチを1回1時間としても、月に20時間もあるのです。この貴重な時間をただ漠然と過ごしていくことが、あまりにもったいなかったのです。もちろん、別のプロジェクトを担当しているコンサルタントや、社内でも普段話さないような人など、社内で会いたい人がいれば誘いますが、惰性で同僚とランチに行くことはしませんでした。
ランチに少し遠くまで出る余裕があるときには、外の人とのアポイントをどんどん入れていきました。競合視察ではないのですが、いわゆる競合のコンサルタントともランチを積極的にしました。P&Gを辞めていろんな会社に行っていた元P&Gの仲間たちは、貴重な話を聞かせてくれました。過去にプロジェクトを御一緒したクライアントは、その後の顛末を教えてくれました。
予定が入らなかった場合には、会社で仕事をしながら軽く何かを買ってきたりしてランチを済ませました。1時間、無為に過ごすのが嫌だったからです。夜の食事も、できるだけ誰かと会うために使いました。飲むのも好きだったので、飲食関係の人たちともつながっていきました。一人でふらりとバーに行くこともよくありました。そこで偶然に出会った人から、いろいろな人を紹介してもらえたりするわけです。
実際、後に会社を上場させることになった起業家や、大手企業の役員など、飲みの席で知り合った方は数えきれないほどいます。その後も、夜しか会っていなくて、知り合って数年経ってから初めて、昼間の仕事でばったり会った、なんて人もいます。人脈を広げよう、という意識はまったく持っていませんでしたが、結果的に広がっていきました。それは、いろんな人に会うことを常に意識していたからです。