まずは小さくてもいいから結果を出すこと

福岡市長・高島宗一郎氏高島宗一郎(たかしま・そういちろう)1974年大分県生まれ。 大学卒業後はアナウンサーとして 朝の情報番組などを担当。 2010年に退社後、36歳で福岡市長選挙に出馬し当選。 2014年と2018年いずれも、 史上最多得票を更新し再選(2018年11月現在)。熊本地震の際には積極的な支援活動と SNSによる情報発信などが多方面から評価され、 博多駅前道路陥没事故では 1週間での復旧が国内外から注目された。『福岡市を経営する』が初の著書となる。

  実績のない若者が認めてもらうためには、まずは小さくてもいいから結果を出すことが大切だ、と考えました。結果を出さない限りは、何を言っても説得力がありません。

 就任当初はとくに、ただガムシャラにいろいろな分野にチャレンジしていくのではなく、チャレンジを通じて「数字や結果を出すこと」に、トコトンこだわりました。

 最初は何を言っても信じてもらえない。それは私が若いからです。

 若いリーダーはどんなに口先で夢を語っても、実現したいビジョンを語っても、実績がないから説得力がないのです。だから「結果」を出す必要がある。若い私にとって、信じてもらえる武器はそれしかありませんでした。

数字は嘘をつかない。
だから数字で流れを変えよう

 私はチャレンジを「成果が短期で出るもの」「中期で出るもの」「長期で出るもの」に仕分けし、同時並行的に進めていきました。

 短期的に数字上の成果が期待できるものは、交流人口の増加です。

 福岡市は第三次産業(サービス業など)に9割の人が従事している特徴的な産業構造を持っています。多くの消費者に福岡に来てもらい、お金を使っていただくことで街が潤います。そこで全国に先駆けて「Fukuoka City Wi-Fi」という無料のWi-Fiを繁華街やすべての地下鉄の駅、主要な観光施設、商業施設などに整備しました。

 これは当時、香港の空港で無料のWi-Fiを利用したことがきっかけでした。日本の公共Wi-Fi整備の遅れに危機感をもって、私の最初の選挙の公約に公衆無線LANの整備を明記していたのです。ちなみに2010年当時の市役所の幹部職員は誰もスマホを持っておらず、Wi-Fiと言ってもなんのことか理解されない状況でした。

 また、観光のシンボルとしてオープントップバス(屋根のない2階建てバス)を導入し、それまで閑散としていた市役所1階のロビーをリニューアルし、九州全体の観光情報コーナーを作りました。