鳩が日向ぼっこをしているだけの広場を、
年間1000万円で民間に貸し出す

 ちなみに市役所には、カフェも整備して、障がいのある方やボランティアの方が活躍できる空間を作りました。市役所とはいえ、繁華街のど真ん中にある付加価値の高い空間です。それを利用しないのは大きな無駄だと私には見えたのです。

 実際、リニューアル後の利用者の平均は、平日で4.2倍の1日あたり6400人に増加し、休日は6.5倍の1日あたり4200人と大勢の方が利用する場所となりました。

 一等地にもかかわらず毎日鳩が日向ぼっこをしているだけだった市役所前の広場は、年間1000万円で民間に貸し出すことにしました。今では、毎週末に多種多様なイベントが開催され、多くの人で賑わうとともに、市には毎年収入が入るようになりました。

 たくさんの観光客を乗せてくる、クルーズ船の誘致にも力を入れました。

 政令指定都市である福岡市の場合、博多港の港湾管理者は「県」ではなく「福岡市」なので、港の整備からクルーズ船の誘致までを国と連携して行ないます。私は、全国の港湾管理者と国土交通省と一緒に「全国クルーズ活性化会議」を設立。その初代会長に就任し、海外から日本へのクルーズ船誘致や大型クルーズ船の着岸に耐えられる強度の岸壁整備などの取り組みを始めました。

 国際コンベンションの誘致にも力を入れました。国際ユニヴァーサルデザイン会議やライオンズクラブの世界大会、フィギュアスケートのグランプリファイナルや世界水泳選手権など、人が集まる国際会議やスポーツイベントにも積極的に手を挙げて、経済界も一緒になって「オール福岡」で誘致活動をしました。

 多くの市民のみなさんの努力、先人の努力の蓄積のうえに、このような新しいチャレンジを次々と行なうことで、就任の2年後には福岡市への観光客数は過去最高を更新しました。

 また就任から3年間(2010年度から2013年度)で市税収入増加率が全国の政令指定都市で1位になりました。就任直前の3年間が11位でしたから大きな飛躍です。こうした成果をひとつずつ積み重ねていくことで、次にやろうとすることへの「説得力」を増していったのです。