そして、もう1つ、怒りが出やすいタイミングは、「恐れやおびえ、脅威を感じるとき」。

 たとえば、

 相手から大声で怒鳴られた。
 怖いことをされた。
 理不尽な要求を突き付けられた。

 こういうとき、自分が脅かされたように感じます。そして動物的な本能として、「おびえ」を感じると「戦うぞ!」と身構える習性があります。たとえば、ニワトリは縄張り争いをするときにお互い向き合って、トサカを立て、自分の体を大きく見せます。また、犬同士が出会いがしらに吠え合うように、どんな動物にも「威嚇する」という習性があります。そこでおびえて逃げ出すと、縄張り争いは一挙に勝負あり、ですが、「負けるもんか!」と頑張って反撃する動物もいます。

 こうして、欲求不満のとき、もしくは脅威を感じるときに「怒り」は生じやすく、それが攻撃になりやすい、といわれています。ある意味、自分の身を守るための攻撃でもあります。

相手が“重要な存在”だからこそ、どうでもいいと思えない

 さて、私たち人間において、こうした攻撃的な怒りが生まれやすいのは、とくに相手が自分にとって、「重要な存在」である場合でしょう。たとえば、家族や夫婦、恋人、友人、職場の上司や同僚、後輩、取引先など。自分にとってどうでもいい人や、表面的な関わりでしのげる人ではなく、何らかの意味で重要な人だからこそ、「相手に自分のことを理解してほしい」「わかってほしい。認めてほしい」「私が脅威を感じるようなことはしないでほしい」「本当は相手ともっと良い関係をつくりたい」といった願いが生まれやすいのです。

 そして、重要な相手だからこそ、ややこしくなるともいえます。なぜなら、関係や距離が近しいだけに、簡単に「怒り」は出せない、出してはいけない、といっそう強く思い込みやすいからです。さらに相手に「こうあるべきだ」「こうあってほしい」という願望や理想を押しつけて、実際はそれはかなわなかった、というときも「怒り」になりやすいですね。

 たとえば「子どもは宿題をさっさとやるべきだ」とか「子どもは親の言うことに従うべき」とか「職場で、自分が忙しいときは同僚は手伝うべきだ」など。それなのに思い通りにならないと、相手に対してがっかりして、「なぜやってくれないの!」と一挙にヒートアップしやすくなります。他人に対して「○○すべきだ」と思っているのは、総じて、相手に過度に自分が期待しているときですから。