■「で、答えは?」タイプ――聞きたいことにそもそも答えない

Q. 「出張申請書類の書き方なんですが、この欄はどう書けばいいんでしょうか?」
A. 「ああ、それ、おれもいつもわからなくなるんだよね。どうしてうちの総務は、もっとわかりやすくしないのかなあ。そもそも、出張に申請が必要なのも無駄だと思わない?」

「相談」以前の「質問」ですから、すばやく「答え」を手渡しましょう。わからないなら「ごめんね。わからないから、○○さんに聞いてください」のひと言で済むはずです。

「ちなみにあの件」タイプ――関係がないことをつけ足す

Q. 「○○社との契約書の原本って、どこにありますか?」
A. 「ああ、○○社ね。3番目の引き出しだよ。あそこは本当に細かいからなあ。僕が担当していたころも、書面の取り交わしのときに、法務がいろいろとケチをつけてきてね……。いやあ、あれにはまいったな……」

こちらは「回答」のあとに、余計な話題や雑談がはじまってしまうパターン。質問してきた人は、内心「また、つかまっちゃったな……」と思ってはいないでしょうか? すぐに自慢話にスライドする「いつのまにか武勇伝型」、途中から関係ない叱責がはじまる「気づけばお説教型」などは、最も敬遠される部類でしょう。

■「おれが正解」タイプ――経験に基づく持論を押しつける

Q. 「この広告デザイン、AパターンとBパターン、どちらが好きですか?」
A. 「これは絶対にAパターンだな。Bパターンのように、寒色系を使ったデザインの広告はまず売れない。失敗したくなければ、どう考えてもAパターンにするべきだよ」

相談者は「どちらが好きか?」を聞いています。ちょっと意見を聞いただけなのに、自分の経験に基づいて「正解」を押しつけられると、若手社員などは困ってしまうようです。

■「自分で考えろ」タイプ――じつは答えるのが面倒なだけ

Q. 「来週の接待、どんな店がよさそうですかね?」
A. 「きみが担当なんだから、自分で選びなよ」

相談者は「明確な答え」を求めているとは限りません。冷たく突き放さずに、「和食系がよさそうかな」「営業部の佐藤さんは、いいお店をたくさん知っているよ」など、ヒントを手渡すのも大切です。

■「早とちり誤爆」タイプ――勘違いして勝手に走り出す

Q. 「以前、C社を担当されていましたよね。私、来月からC社の競合のD社の担当になるんですが……」
A. 「おっ、C社の担当か。あそこはなかなか難しいよ。向こうの窓口の田中さんはいい人だから、まずは彼と今度、食事会でもやろう」

質問の途中でカットインして、C社の担当になったのだと勝手に誤解してしまっていますね。誤解に基づいたアドバイスは、受ける側の徒労感も大きくなります。これに「ちなみにあの件」タイプが組み合わさると最悪です。相手が何を相談しようとしているのか、最後までしっかり耳を傾けましょう。

「相談され上手」がやっている2つのこと

いかがでしたでしょうか? 思い当たるものはありましたか? わかりやすさのために、やや極端な例にしているものもありますが、多かれ少なかれ、仕事が忙しいときなどには、ついやってしまいがちな受け答えではないかと思います。こうしたざんねんな受け答えをしないためには、次の2点を意識しましょう。

・ 「相談」なのかどうかを見極める
・ 解決を見つける「材料」を手渡す

たとえば、「○○はどこにありますか?」「前回のミーティングの内容を教えてください」などは、明らかに質問です。質問では経験談や持論は求められていません。できるだけすばやく答えを渡しましょう。

質問に対する受け答えの価値は、スピードに大きく左右されます。対面で聞かれれば、その場で簡潔でわかりやすい回答をする、メールで質問された場合は、手短に返信する。これを継続するなかで、相談のネットワークにおけるあなたの評価は上がっていきます。