「好きなことで、生きていく」
――でも、どうやって?

「副業解禁」くらいじゃつまらない!?<br />「つまらなくない未来」の働き方とは何か 巣籠悠輔 Yusuke Sugomori / MICIN 取締役CTO
学生時代にGunosy、 READYFOR の創業に関わり、大学院修了後は電通にてデジタルクリエイティブの企画・制作、ディレクションに従事。Googleニューヨーク支社勤務を経て、MICINを共同創業。2016年9月より東京大学招聘講師。著書に『Java Deep Learning Essentials』(Packt Publishing)『詳解ディープラーニング』(マイナビ出版)等。東京大学工学部システム創成学科卒(首席)、東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻卒。

巣籠悠輔 皆さんの話を聞いて思い出したのが、Youtuberの広告です。「好きなことで、生きていく」というキャッチコピーがあって、これが私の好きな言葉です。私自身、これまで色々なサービスを立ち上げてきました。いまは、医師不足の問題を何とかできないかと、医療情報を集めて分析して活用するという仕事をしています。
 他にも、AI、ディープラーニングを大学で教えていたり、趣味で小さい子向けにプログラミングを教えたりしています。基本的には軸となる好きなことがあって、飽きたら辞めるということを繰り返してきました。
 学びの話についていえば、もともと理系だったのですが、勉強が好きで、経済学や金融工学も学んできました。2年前からは、毎年2冊ずつ本を書いています。本を書くことはアウトプットだけでなく、書くことで、自分の思考が整理されインプットにも効きます。
 好きだからずっとできますし、自分の中の欲求のままに生きていければいいのではないか、と考えています。

堅田 私も7回転職しているので、好きなことしかやっていません。気に入らなければ辞めてしまえばいい。そこまで割り切れるのも、時間が有限だと思うからです。好きなことを見つける努力を続け、好きなことが何かと問いつづける。もし、「ここにいる時間がもったいない」と感じたら、次に進んだほうがいいと思います

司会 皆さんがおっしゃることはわかります。ただ、好きなことだけやって生きていくのは、実際は難しくはないでしょうか。

「副業解禁」くらいじゃつまらない!?<br />「つまらなくない未来」の働き方とは何か 山崎繭加 Mayuka Yamazaki / 華道家、ハーバード・ビジネス・レビュー特任編集委員
マッキンゼー・アンド・カンパニー、東京大学助手を経て、2006年より2016年8月まで、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)日本リサーチセンター勤務。東京大学医学部特任助教として、グローバル人材育成に関与。2017年より華道家としてIKERU活動を主宰。東京大学経済学部、ジョージタウン大学国際関係大学院卒業。著書に『ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか』(ダイヤモンド社)。

山崎 そうですね、「好きなことをやる」ということと、「好きなことが仕事になる」、つまり、お金になるということとは、少し違うと思います。私の場合、趣味で生け花をやってきました。仕事として世に出せる準備が整い、世の中の流れや社会の動きを見て「いま、社会に求められている。これなら仕事になる」と思いました。
 つまり、好きなことですぐお金が入ってくるというわけではなく、自分の経験と社会の流れが重なった時、「好きなこと=仕事」になる気がします。そのためにも、好きなことを見つける努力をしつづけなければなりません。常に自分が満たされるとか、エネルギーが湧いてくるといったことです。

巣籠 いまでこそ、ディープラーニングが流行っていますが、私が始めたのは2011年の終わりぐらいでした。日本語の情報が何もなかったのですが、面白そうだと思ってやっていたら、その4、5年後にブームがやってきました。
 好きだからやりつづけられたともいえます。好きで続けていれば、世の中のトレンドに重なり、どこかでチャンスが訪れる。人生には、誰にでも大きなチャンスが3回、訪れるという話もありますが、そのタイミングを感じ取る力が必要かなと思います。