学びと遊びは切り分けない!
未来の働き方は「好き」から始まる

 はい(挙手)。では、まず僕からお答えします。日本の働き方改革というと、「副業解禁」が話題になりました。ですが、今さら副業が解禁だといわれても、つまらなくないでしょうか。
 そこで、働き方改革をするなら「学び方改革」が必要だと考えています。いま、生涯学習という言葉がありますよね。20歳ぐらいまでは、学校に行って勉強しろ、勉強しろとばかり言われます。それが社会人になると、まったく勉強しなくなり、働いてばかりです。
 僕も、20歳ぐらいまではちっとも勉強なんてしたくないと思っていました。それがこの年齢になり、これまでになく勉強したいという意欲にあふれています。社会人としての経験を積んで、社会に対して責任感が増して、知りたいことが増えているからです。
 ならば、逆になったほうがいい。子どもでも働きたいなら働ければいい。いまの子どもたちは、社会から隔離されすぎています。一方で、社会人は学べない、ないし学ぶ選択肢が少なすぎます。ということで、それを逆転させた働き方、学び方をできないかと思います。皆さん、どう思いますか。

「副業解禁」くらいじゃつまらない!?<br />「つまらなくない未来」の働き方とは何か 堅田洋資 Yosuke Katada / データミックス代表取締役
外資系大手企業、有限責任監査法人トーマツを経て、2015年に白ヤギコーポレーション入社。2017年2月にデータミックス設立、代表取締役就任。日本では数少ない米データサイエンス修士号を保有し、同社でデータサイエンス人材の育成を行っている。一橋大学商学部卒業、サンフランシスコ大学データ分析学修士。共著に『フリーライブラリで学ぶ機械学習入門』(秀和システム)。

堅田洋資 社会人向けのデータサイエンティストを養成するための学校、データミックスを運営しています。今回、学び直しの観点でお話しをしたいと思ってまいりました。
 さて、そもそも働くとは何かといえば、アバウトに言えば、色々な人と接したり、その人たちとの比較を通したりして、自分が何者かを知るということなのかと思っています。いかがですか。

山崎繭加 山崎です。仕事をしながら、20年ほど趣味で生け花をしてきました。人の感性を刺激することや、正解のない中で美しいものを作っていくことに魅力を感じています。現在は独立し、生け花を単なるお稽古ではなくて、いまの時代に合う形で社会に伝えていくという活動をしています。
 私自身についていえば、独立してから個人として動いているので、「働く」と「遊ぶ」、「学ぶ」の3つについて、ほとんど区別がありません。仕事をする中、学ぶこともありますし、普段の遊びがそのまま何かのインスピレーションにつながって仕事になることもあります。
 つまり、働く、遊ぶ、学ぶが分かれているのではなく、三位一体で、自分という個人の中に含まれているものだという感覚があります。

 ええ、分ける必要はないですよね。一方で、金融業界といえば、コンプライアンスがうるさいじゃないですか。仕事と遊び、オンとオフをはっきりしろというのも強いと思いますが、田鎖さんはいかがですか。

「副業解禁」くらいじゃつまらない!?<br />「つまらなくない未来」の働き方とは何か 田鎖智人 Tomohito Takusari / ジャパンネット銀行 代表取締役社長
早稲田大学政治経済学部卒業後、日本信販(現三菱UFJニコス)を経て、2003年ヤフー入社。ポイントサービスの立ち上げと統合、クレジットカード事業やウォレットサービスの立ち上げ等、ポイント・決済関連の事業を担当。2006年ジャパンネット銀行との資本業務提携に伴い、同行社外取締役に就任。ヤフー セントラルサービスカンパニー決済金融本部本部長などを経て、2018年2月から現職。

田鎖智人 ジャパンネット銀行の田鎖と申します。私自身は、いかに世の中の現金をなくせるのかということにチャレンジし続けて二十数年が経ちます。ノンバンクの経験しかないのですが、業界内では珍しく銀行の社長をしております。銀行というとつまらない業界と思われがちですが、つまらなくない銀行をつくっていければと、日々まい進しております。
 さて、働き方ということですが、金融機関なので、コンプライアンスを含めて色々な制約があります。確かに、働くことが手段となっているとつまらないでしょう。ですが、働くことが何か自分の目的と結びついている時は楽しい、またはつまらなくはない時だと感じられると思います。
 そこでいま、1人1人が何のために働いているのかという働く目的と、どのような仕事をするのかを結びつけることを意識しています。具体的には、対話の会を全社員と行い、「会社はこういうことをやろうとしているのだけど、あなたの仕事と結びついていますか」といった問いかけを一生懸命、行っています。
 個々の目的に向かって、いかに会社として直進的に進めるようにするのか、その環境を整えることで、つまらなくない働き方を実現できると考えています。ところで、働き蜂のような日本に対して、エストニアにはどのような職業観があるのですか。