2人のやり取りを見ていた姫野が、笑いながら口を挟んできた。

「細山君、いいのよ。部長は好きでやっているんだから」

 姫野によると、永井部長はいつも率先して飲み会を企画して幹事をやってくれるという。おしゃれで料理もおいしい店を見つけては、「皆で行こう」と企画してくれるとのことだった。部長企画の飲み会のおかげで、部内の人間関係は良好だ。

 細山は永井部長に対して、「仕事もできて、部下思いで、フットワークまで軽いんだな」とますます尊敬の念と親しみやすさを感じた。

同期からの意外な情報
まさか永井部長が……

 お昼に外回りを終えた細山は、会社の近くにある蕎麦屋に入った。すると、経理課の多田がいて、「一緒に食べよう」と誘うので、細山は多田の向かいに座った。

「どうだ、営業は?きついんじゃないか?」

 多田は、入社時より少し痩せた細山にニヤリとしながら聞いた。多田は細山より5歳年上だが、同期入社ということもあって、細山とは仲が良かった。

「まぁ、仕事自体は大変なこともあるけど、人間関係が良いから楽しくやってるよ。特に部長が俺たち若手にもいろいろと気を使ってくれて、すごく雰囲気がいいんだ」
「へぇ、あのイケメンの部長が…?」

 尊敬している上司が他部署の多田にも「イケメン部長」として認識されていると思うと、細山も少し鼻が高い。

「外見だけじゃなくて、仕事もできるし、部下に対して厳しさと優しさを持っているから皆に尊敬されているんだ」
「ふーん…」

 多田は出てきた蕎麦をすすりながら、細山の話を聞いていた。すると、多田が思い出したように言った。

「うちの経理課で、営業部が経費使いすぎで話題になったことがあったな」
「そうなのか?でも営業は接待も多いし、経費はそこそこ使うだろ」
「いや、接待よりも、部内の飲み会が多すぎる件なんだ。もちろん経理課としても飲みニケーションを否定するわけじゃないけど…」