もはや中国社会に欠かせないインフラとなったウェイボー。中国人は、日本について何をつぶやき、どんな話題に反応しているのだろうか? 日本企業や自治体のウェイボー運営や運用代行・支援を行っているウェイボー研究所の高橋学さんに聞いた。
ウェイボーはもはや中国社会に欠かせないインフラになった
前回、中国版ツイッターといわれるウェイボー(微博)の成り立ちを簡単に紹介した。中国では単なるソーシャルメディアではなく、ビジネスに欠かせないプロモーションツールとなった背景についても、現地の若い日本人起業家に解説してもらった。
中国の国情からすれば、ウェイボーには当局の規制をはじめ、さまざまな政治勢力による情報誘導や攪乱要素が飛び交うため、そこから政治的なイシューに関する中国人の民意を読み取るのは難しい。地域の発展段階の違いと階層格差の拡大から、どの立場に立つかによって民意の中身も大きく異なるからだ。中国は異なる利害の調整を迫られる社会なのだ。
しかし、いったん話題が政治の文脈を離れると、ウェイボーではひとつのツイートに対して瞬発的に多用なリアクションが見られるため、特定のテーマやトピックスに対する中国人の本音や捉え方が比較的わかりやすく表出される面がある。中国の消費者心理や日本に対する関心などを理解するうえでは恰好のメディアといえるだろう。
中国市場に進出する日本企業や自治体にウェイボーの運営や運用代行・支援を行っているウェイボー研究所の高橋学さんによると、「ウェイボーはもはや中国社会に欠かせないインフラとなった」という。
では、中国人は日本について何をつぶやいているのだろうか? また彼らはどんな話題に反応するのか? 高橋学さんに話を聞いた。
――ウェイボー研究所の調べでは、2011年に最もシェアされたトピックスの第2位に東日本大震災が入っていますが、なぜ中国人はそんなに関心を持ったのでしょうか。
「これには本当に驚きました。今年に入っても、東日本大震災一周年ということで数多くの応援メッセージがツイートされています。確かに、当初は『震災万歳!』といった反日ツイートもありましたが、即座に『日本には中国の同朋がいることを考えたことがあるのか』と諌める声も出ました。2008年に四川大地震が起きたばかりでしたから、東日本大震災で中国人はいろんなことを考えさせられたのでしょう。その多くが、被災民の秩序だった行動や日本社会の成熟度を賞賛する声だったと思います。